サイバー攻撃とは?おもな種類・手口から企業が取るべき対策まで解説

更新日:2026-09-16 公開日:2026-04-17 by Bitmoss

目次

サイバー攻撃とは?種類・手口から企業が取るべき対策まで解説サイバー攻撃とは、システムやネットワーク、Webサイト、アカウントなどを狙い、情報の窃取・改ざん・破壊やサービス停止などを引き起こす悪意ある行為です。

企業が備えるべき攻撃は、ランサムウェアや標的型攻撃だけではありません。脆弱性を悪用した侵入、認証情報の窃取、DDoS攻撃、サプライチェーンを経由した攻撃など、侵入経路や目的は多様化しています。

そのため、対策は単に「侵入を防ぐ」だけでは不十分です。侵入を防ぐ・被害を広げない・早く気づく・早く復旧するという複数の観点で設計する必要があります。

この記事では、サイバー攻撃とセキュリティ事故の違い、企業を狙う代表的な攻撃、主な侵入経路、クラウド環境を含めた基本対策まで体系的に整理します。

この記事の要点
  • サイバー攻撃は、悪意ある第三者などによる意図的な攻撃を指す
  • ランサムウェア、標的型攻撃、脆弱性悪用、DDoS、サプライチェーン攻撃など手口は多様
  • 対策は「防ぐ・広げない・気づく・戻す」の4つで考えると整理しやすい
  • クラウドではネットワークだけでなく、ID・権限・ログ・設定・バックアップまで含めて守る
  • すべてを一度に対策するのではなく、自社の重要資産と事業影響から優先順位を決める

 

サイバー攻撃とは?セキュリティ事故との違い

サイバー攻撃とは、コンピューターやネットワーク、クラウド、Webサイト、アカウントなどに対して、攻撃者が意図的に不正な行為を行うことです。

代表的な目的には、次のようなものがあります。

  • 機密情報や個人情報を盗む
  • システムやデータを破壊・暗号化する
  • Webサイトやデータを改ざんする
  • サービスを停止させる
  • 認証情報やアカウントを乗っ取る
  • 金銭を要求する

一方、「セキュリティ事故(セキュリティインシデント)」は、サイバー攻撃よりも広い概念です。

たとえば、SSL/TLS証明書の更新漏れ、クラウドの公開設定ミス、誤操作による情報公開などは、外部から攻撃を受けていなくても重大な事故につながります。

項目 概要 主な例
サイバー攻撃 攻撃者が意図的に行う不正な行為 ランサムウェア、不正アクセス、標的型攻撃、DDoSなど
セキュリティ事故 サイバー攻撃や設定ミスなどにより、情報・システムの機密性・完全性・可用性などが損なわれる、またはそのおそれが生じる事象 攻撃被害、設定ミス、証明書更新漏れ、誤操作など

したがって企業のセキュリティ対策では、サイバー攻撃への防御だけでなく、設定・運用上の事故を防ぐ仕組みもあわせて整える必要があります。

サイバー攻撃の主な種類・手口

サイバー攻撃の手口は変化し続けていますが、企業が優先的に把握しておきたい脅威には一定の共通点があります。

IPAが公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織編では、ランサム攻撃、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃、AIの利用をめぐるサイバーリスク、脆弱性を悪用した攻撃、標的型攻撃、DDoS攻撃などが挙げられています。

ただし、ランキングの順位だけで自社の優先度を決めるのではなく、自社のシステム構成や事業への影響を踏まえて判断することが重要です。

最新の脅威動向については、【2026年版】IPA「情報セキュリティ10大脅威」とは?もあわせてご覧ください。

攻撃 特徴 主な被害
ランサムウェア データを暗号化したり情報を窃取したりして金銭を要求する 業務停止、情報漏えい
標的型攻撃 特定の企業・組織を狙い、メールなどを起点に侵入する 機密情報窃取、長期的な侵害
脆弱性を悪用した攻撃 OS、VPN、Webアプリなどの弱点を悪用して侵入する 不正アクセス、改ざん、感染
DDoS攻撃 大量の通信を送り、Webサイトやサービスを利用できない状態にする サービス停止、機会損失
フィッシング・認証情報窃取 偽メールや偽サイトなどからID・パスワードなどを窃取する アカウント乗っ取り、不正アクセス
Webアプリケーションへの攻撃 WebアプリやAPIの脆弱性・入力処理などを狙う 情報漏えい、改ざん、不正操作
サプライチェーン攻撃 取引先や委託先などを経由して標的企業へ侵入する 複数組織への被害拡大

攻撃の名称や手口を覚えることよりも、自社がどの経路・どの資産を狙われやすいかを把握し、手口ごとに対策を使い分けることが重要です。

ランサムウェア

ランサムウェアは、システムやデータを暗号化して利用できなくし、復旧などと引き換えに金銭を要求する攻撃です。

近年は暗号化だけでなく、事前に情報を窃取し「公開されたくなければ支払え」と迫る二重脅迫型も広く見られます。

詳しい感染経路や復旧設計は、クラウド時代のランサムウェア対策とは?で整理しています。

標的型攻撃

標的型攻撃は、特定の企業や組織、人物を狙って行われる攻撃です。取引先や社内関係者を装ったメールなどを利用し、マルウェア感染や認証情報の窃取を狙います。

一度侵入されると、攻撃者が組織内で権限を広げながら長期間活動する場合もあります。

詳しくは、【用語解説】標的型攻撃とは?をご覧ください。

脆弱性を悪用した攻撃

OS、VPN機器、CMS、Webアプリケーション、ライブラリなどに存在する脆弱性を悪用し、不正アクセスやマルウェア感染につなげる攻撃です。

既知の脆弱性であっても、資産を把握できていない、パッチ適用が遅れているといった運用上の理由から被害につながることがあります。

脆弱性管理の基本については、【用語解説】脆弱性(Vulnerability)とは?も参考にしてください。

DDoS・Bot・Webへの攻撃

DDoS攻撃は、多数の端末などから大量の通信を送り、Webサイトやオンラインサービスを利用できない状態にする攻撃です。

また、Web環境では脆弱性への攻撃に加え、自動化されたBotによる不正ログイン、スクレイピング、買い占め、アカウント攻撃なども考慮する必要があります。

DDoSについては、【用語解説】DDoS攻撃とは?、Bot対策については、WAFでBot対策はできる?仕組みと限界・専用対策との違いを解説で詳しく解説しています。

Webサイトの改ざんについては、【用語解説】Web改ざんとは?も参考にしてください。

サイバー攻撃はどのように進む?

サイバー攻撃の進み方は手口によって異なります。なかでも不正アクセスやランサムウェア、標的型攻撃など、システムへの侵入を伴う攻撃では、認証情報の窃取や脆弱性の悪用をきっかけに侵入し、権限やアクセス範囲を広げながら、情報窃取やシステム停止などの被害につながる場合があります。

  1. 侵入する:メール、認証情報、脆弱性、Webなどを起点に侵入する
  2. 権限・アクセス範囲を広げる:取得したアカウントや権限を利用し、他のシステムやデータへアクセスする
  3. 目的となる行為を行う:情報窃取、暗号化、改ざん、サービス妨害などを行う
  4. 被害が顕在化する:情報漏えい、システム停止、金銭要求などとして企業活動へ影響する

そのため対策では、侵入経路だけでなく、侵入後の権限拡大や被害拡大、早期検知、復旧まで含めて考えることが重要です。

サイバー攻撃はどこから侵入する?主な攻撃経路

サイバー攻撃対策では、攻撃名を覚えるだけでなく、どこから侵入される可能性があるかを把握することが重要です。

攻撃経路 主な例 確認したい対策
メール 標的型メール、フィッシング、添付ファイル メール対策、教育、MFA
認証情報・アカウント パスワード漏えい、使い回し、アクセスキー流出 MFA、最小権限、権限棚卸し
脆弱性 VPN、OS、CMS、Webアプリ、機器 資産管理、パッチ、脆弱性診断
Web・API Webアプリ攻撃、Bot、不正アクセス WAF、Bot対策、ログ監視
取引先・委託先 委託先アカウント、ソフトウェア、外部サービス 委託先管理、アクセス制御、契約・体制確認

攻撃経路はひとつとは限りません。メールで認証情報を窃取し、そのアカウントを使ってクラウドへ侵入するなど、複数の手法が組み合わされるケースもあります。

特に、取引先や委託先を経由するサプライチェーン攻撃は、IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織編でも主要な脅威として挙げられています。取引先からSCS評価制度への対応を求められた場合の進め方は、SCS評価制度とは?や取引先からSCS対応を求められたら?中小企業が最初に取り組むべき5つのステップで詳しく解説しています。

サイバー攻撃対策は「防ぐ・広げない・気づく・戻す」で考える

サイバー攻撃を完全に防ぐことは現実的ではありません。

そのため、企業の対策では「侵入させない」ことだけに集中せず、侵入された場合も含めた多層的な防御を設計することが重要です。

1. 防ぐ|攻撃の入口を減らす

まず、攻撃に利用される可能性のある入口を減らします。

  • OS・ソフトウェア・ネットワーク機器の更新
  • 多要素認証(MFA)の導入
  • 不要なアカウントやサービスの停止
  • WAFやメールセキュリティの活用
  • 脆弱性情報の継続的な確認

すべての入口を完全にゼロにすることはできないため、更新・MFA・不要サービス停止など、基本的な対策を漏れなく積み重ねることが重要です。

2. 広げない|侵入後の影響を最小化する

侵入されても被害が組織全体へ広がらないようにします。

  • 最小権限の徹底
  • 管理者権限の分離
  • ネットワークやシステムの分離
  • バックアップ環境の分離
  • 重要データへのアクセス制御

侵入されることを前提に、権限やネットワークをあらかじめ分割しておくことで、被害の範囲を最小限に抑えられます。

IDやアクセス権限を中心とした考え方は、ゼロトラストとは?も参考になります。

3. 気づく|攻撃を早期に検知する

攻撃を受けても気づけなければ、被害が長期間広がる可能性があります。

ログイン、管理操作、設定変更、通信、Webアクセスなどを記録し、異常を確認できる体制を整えます。

  • 認証・操作ログの取得
  • 異常ログインの検知
  • 設定変更の監視
  • 通信やWebアクセスの監視
  • アラート発生後の確認担当・連絡ルールの整備

ログを取得するだけでなく、異常に気づいた際に「誰が」「どう対応するか」を決めておくことが早期対応につながります。

4. 戻す|業務を早期に復旧する

攻撃によってシステムが停止した場合に備え、バックアップと復旧手順を準備します。

重要なのは、バックアップが「存在すること」ではなく、必要なデータを必要な時間内に復元できることです。

  • バックアップ対象・頻度の整理
  • バックアップの分離・保護
  • 復元手順の作成
  • 復旧テスト
  • 代替環境やDR構成の検討

サイバー攻撃後の復旧や事業継続まで含めて整理したい場合は、クラウドで実現するBCP/DR完全ガイドもご覧ください。

クラウド環境で押さえたいサイバー攻撃対策

クラウド環境では、クラウド事業者がインフラを保護していても、利用企業側で行うべきセキュリティ対策がなくなるわけではありません。

たとえばAWSでは「責任共有モデル」に基づき、利用するサービスに応じて、IAM、OSやアプリケーション、ネットワーク設定、データ管理など利用企業側に残る責任があります。

AWS環境での具体的な運用対策については、AWSセキュリティ対策とは?企業側で押さえたい運用ポイントを解説で詳しく整理しています。

ID・認証を優先して見直す

クラウドでは、IDや認証情報を奪われることで、正規ユーザーと同じ経路から侵入される可能性があります。

多要素認証、不要アカウントの削除、特権IDの制限、最小権限などを優先的に確認します。

公開範囲とネットワーク設定を確認する

ストレージや管理画面、ポートなどが意図せずインターネットへ公開されていないか確認します。

公開Webサイトでは、WAF、DDoS対策、Bot対策などをシステム特性に応じて組み合わせます。

ログを「残す」だけでなく「見る」

ログを保存していても、異常発生時に確認できなければ早期検知にはつながりません。

どのログを取得し、どの事象をアラートにし、誰が確認するのかまで運用として決めておくことが重要です。

バックアップを攻撃から守る

ランサムウェアなどでは、復旧を妨げるためバックアップ自体が狙われることがあります。

本番環境とは異なる権限や保存先を利用するなど、バックアップまで同時に失わない構成を検討します。

情シスの人員が限られる企業は何から対策すべき?

すべてのセキュリティ対策を同時に実施することは、現実的ではありません。

特に情シスの人員が限られている企業では、製品を増やす前に、事業影響が大きいリスクから優先順位を付けることが重要です。

STEP1. 守るべき資産を把握する

顧客情報、業務システム、Webサービス、認証基盤など、停止・漏えいした場合に事業影響が大きいものから整理します。

STEP2. 管理者アカウントと認証を見直す

MFAが設定されていない管理者アカウントや、退職者・委託先の不要アカウントがないか確認します。

STEP3. 外部公開資産と脆弱性を確認する

インターネットからアクセス可能なVPN、サーバー、Webサイト、管理画面などを把握し、パッチ未適用や不要公開がないか確認します。

STEP4. ログ・監視・連絡体制を整える

異常発生時に誰が気づき、誰へ連絡し、どの段階で外部へ支援を依頼するのか決めます。

STEP5. バックアップと復旧を確認する

重要システムについては、バックアップ取得だけでなく、実際に復元可能かを確認します。

クラウド・Web基盤のセキュリティ対策にお悩みですか?

「何から優先して見直せばよいか分からない」「攻撃対策とバックアップ・復旧をまとめて整理したい」といった段階でもご相談いただけます。
現在のクラウド・Web基盤や運用体制を確認しながら、必要な対策を整理します。

クラウド・Web基盤のセキュリティについて相談する

サイバー攻撃対策でよくある失敗

  • セキュリティ製品を導入しただけで安心している
  • MFAを導入していない管理者アカウントが残っている
  • 脆弱性情報は確認しているが、パッチ適用の担当や期限が決まっていない
  • ログは保存しているが、誰も定期的に確認していない
  • バックアップはあるが、復元テストをしていない
  • 委託先や退職者の権限が残っている
  • インシデント発生時の連絡先や判断者が決まっていない

サイバー攻撃対策は、製品や機能の数ではなく、攻撃を受けた場合にも実際に機能する運用になっているかが重要です。

サイバー攻撃に関するよくある質問

サイバー攻撃と不正アクセスは同じですか?

同じではありません。不正アクセスはサイバー攻撃の手口のひとつです。サイバー攻撃には、不正アクセスのほか、ランサムウェア、DDoS攻撃、標的型攻撃、Webアプリケーションへの攻撃などさまざまな手法があります。

サイバー攻撃を完全に防ぐことはできますか?

すべての攻撃を完全に防ぐことは現実的ではありません。そのため、侵入防止に加えて、権限分離や監視による被害拡大防止・早期検知、バックアップによる復旧まで組み合わせることが重要です。

中小企業もサイバー攻撃の対象になりますか?

企業規模にかかわらず対象になる可能性があります。また、取引先や委託先を経由して別の組織を狙うサプライチェーン攻撃もあるため、「自社は小さいから狙われない」と考えず、重要資産に応じた対策が必要です。

サイバー攻撃対策は何から始めればよいですか?

まず、自社の重要なシステムやデータを把握し、管理者アカウントのMFA、不要アカウントの削除、外部公開資産の確認、パッチ適用、バックアップ・復旧の確認など、影響が大きい項目から優先すると進めやすくなります。

クラウドを使えばサイバー攻撃対策はクラウド事業者に任せられますか?

すべてを任せられるわけではありません。クラウド事業者が基盤側を保護していても、利用企業側にはID・権限、設定、データ、OSやアプリケーションなど、利用サービスに応じた管理責任が残ります。

WAFを導入すればサイバー攻撃を防げますか?

WAFはWebアプリケーションを狙う攻撃への重要な対策ですが、メール攻撃、認証情報の窃取、端末へのマルウェア感染など、すべての攻撃を防げるものではありません。ID管理、端末対策、監視、バックアップなどと組み合わせることが重要です。

サイバー攻撃にはどのような種類がありますか?

代表的なものには、ランサムウェア、標的型攻撃、脆弱性を悪用した攻撃、DDoS攻撃、サプライチェーン攻撃、フィッシング、Webアプリケーションへの攻撃などがあります。攻撃手法ごとに侵入経路や影響が異なるため、自社のシステムや事業への影響を踏まえて優先順位を付けることが重要です。

まとめ|サイバー攻撃対策は「侵入防止」だけで終わらせない

サイバー攻撃には、ランサムウェア、標的型攻撃、脆弱性を悪用した攻撃、DDoS、サプライチェーン攻撃など、さまざまな種類があります。

また、ひとつの攻撃手法だけが使われるとは限らず、認証情報の窃取、脆弱性悪用、権限拡大などが組み合わされる場合もあります。

そのため企業のサイバー攻撃対策では、「防ぐ」「広げない」「気づく」「戻す」という4つの観点で対策を整理することが重要です。

特にクラウド環境では、従来のネットワーク境界だけでなく、ID・権限、設定、ログ、Webアクセス、バックアップまで含めて継続的に確認する必要があります。

すべてを一度に完璧にする必要はありません。まず自社にとって重要なシステムやデータを把握し、事業への影響が大きいリスクから優先順位を付けて改善していきましょう。

参考情報:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」、AWS Shared Responsibility Model

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