ゼロトラストとは?仕組み・従来型との違い・認証の考え方を解説

更新日:2026-04-16 公開日:2026-04-10 by Bitmoss

目次

ゼロトラストとは?なぜ必要?従来型セキュリティとの違いを解説ゼロトラスト(Zero Trust)は、近年のクラウド利用拡大やリモートワークの普及に伴い注目されているセキュリティモデルです。しかし、「従来のセキュリティと何が違うのか」「どのような仕組みで実現されるのか」まで正しく理解できているケースは多くありません。

従来の境界型セキュリティは、社内ネットワークを“安全な領域”とみなす前提で設計されてきました。しかし、クラウドやモバイル環境ではその前提が崩れ、内部からの不正アクセスや認証情報の漏えいといったリスクが顕在化しています。

こうした背景から生まれたのが「ゼロトラスト」という考え方です。本記事では、ゼロトラストの基本的な仕組みから、従来型セキュリティとの違い、認証・アクセス制御の考え方、関連する技術との関係までを体系的に解説します。

ゼロトラストとは?

ゼロトラストとは、社内外を問わず「何も信頼しない」ことを前提に、すべてのアクセスを都度検証するセキュリティの考え方です。従来のように、社内ネットワークの内側を一律に安全とみなすのではなく、ユーザーID、端末の状態、接続元、利用するアプリケーションなど、複数の要素をもとにアクセスの妥当性を判断します。

この考え方が注目される背景には、クラウド利用の拡大、リモートワークの普及、SaaSの活用増加があります。ネットワーク境界が曖昧になった現在では、境界防御だけで十分な安全性を確保することが難しくなっているためです。

ゼロトラストと従来型セキュリティの違い

従来型セキュリティは、社内ネットワークを信頼できる領域、外部を危険な領域とみなす「境界防御」が基本でした。この考え方では、VPNなどで社内ネットワークに接続した後は、比較的広い範囲へのアクセスが許可されるケースも少なくありません。

一方、ゼロトラストでは、ネットワークの内側か外側かではなく、「そのアクセス自体を信頼できるか」を都度確認します。たとえ社内からのアクセスであっても、認証情報の正当性や端末の安全性、アクセス先との整合性が確認されなければ許可されません。

この違いによって、ゼロトラストは内部不正や認証情報の漏えい、VPN経由の横展開リスクなどに対応しやすくなります。

項目 境界型セキュリティ ゼロトラスト
考え方 社内は信頼、外部は不信 社内外を問わず、すべて信頼しない
認証・確認 主に入口で確認 アクセスのたびに継続的に確認
想定する脅威 主に外部からの侵入 外部攻撃に加え、内部不正やアカウント侵害も想定
クラウド・リモート対応 対応しづらい 対応しやすい


アクセス権限の設計やユーザー単位の制御を整理したい場合は、「IAM(Identity and Access Management)の基本と役割」もあわせて確認すると理解が深まります。

なぜゼロトラストが必要なのか

ゼロトラストが注目される背景には、以下のような要因があります。

  • クラウドサービスの普及により、社内ネットワークの外に重要なデータや業務システムが増えている
  • リモートワークの増加により、さまざまな場所・端末からのアクセスが常態化している
  • 内部不正や設定ミスによる情報漏えいリスクが高まっている
  • ID・パスワードの漏えいによる不正アクセス被害が増えている

近年の脅威動向については、情報セキュリティ10大脅威も参考になります。

ゼロトラストの仕組みと構成要素

ゼロトラストは単一の製品ではなく、複数の仕組みを組み合わせて実現します。中核となるのは「継続的な検証」と「最小権限アクセス」です。

主な構成要素は以下の通りです。

  • ユーザーIDに基づく認証
  • 多要素認証(MFA)
  • 端末の状態確認
  • アクセス先ごとの細かな認可制御
  • 通信や操作ログの監視

これらを組み合わせることで、「誰が・どこから・どの端末で・何にアクセスするのか」を毎回検証する仕組みが実現されます。

ID・認証(IAM)

ユーザー認証とアクセス制御はゼロトラストの中核です。誰が、どのシステムに、どの権限でアクセスできるかを適切に管理する必要があります。詳しくはIAMとはをご覧ください。

多要素認証(MFA)

ID・パスワードだけに依存せず、追加の認証要素を組み合わせることで、認証情報が漏えいした場合のリスクを低減します。

デバイス管理

端末のOS更新状況、セキュリティソフトの有無、管理対象端末かどうかなどを確認し、安全な端末のみアクセスを許可することが重要です。

ネットワーク制御

アクセス元や通信経路、接続先の情報をもとに、通信を細かく制御します。必要に応じてアクセス範囲を最小限に絞る考え方が重要です。

アプリケーション保護

Webアプリケーションに対する攻撃を防ぐために、AWS WAFのような対策を組み合わせることも有効です。

ログ・監査

すべてのアクセスや操作を記録し、不正検知やインシデント対応に活用します。ゼロトラストでは「アクセスを許可して終わり」ではなく、その後の可視化と追跡も重要です。

ゼロトラストにおける認証とアクセス制御

ゼロトラストでは、認証とアクセス制御が非常に重要です。IDとパスワードだけでなく、多要素認証(MFA)やデバイス認証、接続元情報などを組み合わせて判断します。

また、アクセス制御では「最小権限の原則」に基づき、業務に必要な範囲だけアクセスを許可します。これにより、万が一認証情報が漏えいしても、被害範囲を最小限に抑えることが可能になります。

ZTNA・SASEとの違いと関係性

ZTNA(Zero Trust Network Access)は、ゼロトラストの考え方をネットワークアクセスに適用した技術です。VPNのようにネットワーク全体に接続するのではなく、アプリケーション単位でアクセスを制御します。

SASE(Secure Access Service Edge)は、ネットワークとセキュリティ機能をクラウド上で統合するアーキテクチャであり、ゼロトラスト実現の手段の一つとされています。

ゼロトラスト導入のステップとポイント

ゼロトラストは、一度にすべてを入れ替えるものではありません。現実的には、優先度の高い領域から段階的に整備していくケースが一般的です。

  • まずはID管理や多要素認証を強化する
  • 端末管理やアクセス制御を整備する
  • ログ収集・監査体制を強化する
  • システム全体を通じて継続的に見直す
  • ログ監視・運用を設計する

ゼロトラストを前提としたクラウド構成を検討する際は、認証やアクセス制御だけでなく、基盤選定も重要になります。国産クラウドを含めて比較したい方は、さくらのクラウドとは?特徴・料金・AWSとの違いもあわせてご覧ください。

ゼロトラストのメリット・デメリット

メリット

  • 内部不正や認証情報漏えいへの強化
  • クラウド・リモート環境に適合
  • 柔軟なアクセス制御

デメリット

  • 導入・設計の難易度が高い
  • 運用負荷が増加する可能性
  • 既存環境との調整が必要

まとめ

ゼロトラストは、従来の「社内は安全」という前提を見直し、すべてのアクセスを検証することで安全性を高めるセキュリティモデルです。

クラウドやリモートワークが当たり前になった現在、ゼロトラストの考え方は多くの企業にとって重要性を増しています。

まずはIAMや多要素認証、端末管理、ログ管理など、取り組みやすい領域から段階的に整備していくことが現実的です。

ゼロトラストを前提とした環境整備では、認証やアクセス制御だけでなく、クラウド基盤の選定も重要です。国産クラウドを含めて構成を検討したい方は、さくらのクラウドを活用した設計・移行・運用支援もご相談いただけます。

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よくある質問(FAQ)

ゼロトラストではプロキシサーバーは不要ですか?

不要になるわけではありませんが、役割は変わります。ゼロトラスト環境では、アクセス制御や可視化の一部として再設計されるケースが一般的です。

ゼロトラストとWAFは同じですか?

異なります。ゼロトラストは全体の考え方、WAFはWeb攻撃対策です。

ゼロトラストと従来のセキュリティの違いは何ですか?

従来の境界型セキュリティは「社内は安全、外部は危険」という前提で設計されていましたが、ゼロトラストでは社内外を問わずすべてのアクセスを検証します。

ゼロトラストはすぐに導入できますか?

一度にすべてを導入するのではなく、ID管理や多要素認証の強化など、優先度の高い領域から段階的に進めるのが一般的です。

ゼロトラストとZTNAの違いは何ですか?

ゼロトラストは考え方、ZTNAはその実装手段の一つです。

ゼロトラストとSASEの違いは何ですか?

SASEは、ネットワークとセキュリティをクラウドベースで統合する考え方です。ゼロトラストはその中核となる考え方のひとつとして位置づけられることがあります。

ゼロトラストではVPNは使わないのですか?

完全に不要になるわけではありませんが、「接続=信頼」という前提はなくなります。段階的にゼロトラストへ移行する中で併用されるケースもあります。

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