【用語解説】IAMとは?AWS権限管理の基本と運用ポイント

更新日:2026-07-29 公開日:2023-11-09 by Bitmoss

目次

【用語解説】IAMとは?AWSの権限管理で押さえたい基本と運用ポイント

AWS環境では、誰にどのリソースの操作を許可するかを適切に管理しなければ、設定ミスや不正アクセスのリスクが高まります。そこで重要になるのが、AWS Identity and Access Management(IAM)です。

IAMは、AWSを利用する人やシステムを識別し、それぞれに必要な権限を付与するための仕組みです。ただし、IAMユーザーやポリシーを作成するだけでは、安全な権限管理とはいえません。

重要なのは、必要な人やシステムに、必要な期間、必要な権限だけを付与し、その状態を継続的に見直すことです。

この記事では、IAMの基本的な仕組みから、IAMユーザー・ロール・ポリシーの違い、少人数情シスでも押さえておきたい運用ポイントまで、実務視点で解説します。

IAMとは?

IAMとは、AWSリソースへのアクセスを安全に管理するためのサービスです。

IAMは「誰がアクセスしているのか」を確認する認証と、「その人やシステムに何を許可するのか」を判断する認可を制御します。

認証と認可の違い

  • 認証:アクセスしているのが誰かを確認する
  • 認可:確認した相手に、どの操作を許可するかを決める

たとえば、AWSへサインインする際に本人であることを確認するのが認証です。その後、EC2の起動やS3バケットの閲覧など、実行できる操作を制御するのが認可です。

つまりIAMは、単なるユーザー登録機能ではなく、AWS環境における認証・認可・権限管理の基盤といえます。

IAMがAWS運用で重要な理由

AWSでは、クラウド基盤そのものの安全性はAWSが担います。一方で、誰にアクセスを許可し、どの操作を認めるかは利用企業側で管理する必要があります。

これはAWS責任共有モデルに基づく考え方です。IAMの設定やアクセス権限の管理は、基本的に利用企業側の責任範囲に含まれます。

IAMの設定が不十分だと、次のような問題につながる可能性があります。

  • 必要以上の権限を持つユーザーが増える
  • 退職者や異動者の認証情報が残る
  • アクセスキーが漏えいし、不正利用される
  • 誰がどのリソースを操作したのか把握できない
  • 外部委託先へ付与した権限が放置される

特に少人数情シスでは、日々の業務を優先する中で、権限の棚卸しが後回しになりがちです。そのためIAMでは、初期設定だけでなく、継続的に管理できる運用体制を作ることが重要です。

AWS全体のセキュリティ運用については、「AWSセキュリティ対策とは?企業側で押さえたい運用ポイントを解説」で詳しく解説しています。

IAMを構成する主な要素

IAMを理解するために、まずはユーザー、グループ、ロール、ポリシーの違いを整理しましょう。

要素 主な役割
IAMユーザー AWSアカウント内に作成する個別のID
IAMグループ 複数のIAMユーザーをまとめて権限管理する
IAMロール 人やAWSサービスなどへ一時的な権限を付与する
IAMポリシー どのリソースに、どの操作を許可・拒否するか定義する

IAMユーザー

IAMユーザーは、AWSアカウント内に作成する個別のIDです。IAMユーザーには、用途に応じて、AWSマネジメントコンソールへサインインするためのパスワードや、プログラムからAWSへアクセスするためのアクセスキーを設定できます。

ただし、現在のAWS公式ベストプラクティスでは、人がAWSへアクセスする場合、IAMユーザーを多数作成して長期的な認証情報を管理する方法よりも、IDプロバイダーとのフェデレーションやAWS IAM Identity Centerを利用し、一時的な認証情報でアクセスする方法が推奨されています。

既存環境でIAMユーザーを利用する場合も、必要性を確認し、不要なユーザーや認証情報を残さないことが重要です。

IAMグループ

IAMグループは、複数のIAMユーザーをまとめて管理する仕組みです。

たとえば、「管理者」「開発担当」「閲覧担当」などのグループを作成し、それぞれに必要なポリシーを付与すれば、ユーザーごとに個別設定するよりも権限管理を標準化しやすくなります。

ただし、IAMグループに含められるのはIAMユーザーです。IAMロールやほかのグループを、グループのメンバーとして追加することはできません。

IAMロール

IAMロールは、特定の人やAWSサービス、アプリケーションなどに一時的な権限を付与する仕組みです。

IAMユーザーのように固定のパスワードやアクセスキーを持たず、ロールを引き受けた際に一時的な認証情報が発行されます。

たとえば、EC2からS3へアクセスする場合、EC2へIAMロールを割り当てれば、アクセスキーをサーバー内へ直接保存せずに必要な権限を付与できます。

人にはフェデレーション、AWS上のワークロードにはIAMロールを利用し、長期的な認証情報をできるだけ減らすことが、現在の基本的な考え方です。

IAMポリシー

IAMポリシーは、どのリソースに対して、どの操作を許可または拒否するかをJSON形式で定義したものです。

代表的な管理ポリシーには、AWSが作成・管理する「AWS管理ポリシー」と、利用企業が独自に作成する「カスタマー管理ポリシー」があります。

AWS管理ポリシーは導入しやすい一方で、自社の業務に対して権限が広すぎる場合があります。最初はAWS管理ポリシーを利用しつつ、実際の利用状況を確認しながら、より細かな最小権限へ移行することが重要です。

IAMで重要な「最小権限」とは?

最小権限とは、業務や処理に必要な範囲だけアクセスを許可し、それ以外の権限を与えない考え方です。

たとえば、S3バケットの内容を確認する担当者に必要なのが読み取りだけであれば、削除や設定変更の権限まで付与する必要はありません。

権限を広く設定すると運用は簡単に見えますが、認証情報が漏えいした場合や誤操作が発生した場合の影響範囲が大きくなります。

最小権限で確認したいポイント

  • 管理者権限を持つユーザーが必要以上に多くないか
  • 業務に不要なAWSサービスへアクセスできないか
  • 対象リソースを必要な範囲に限定できているか
  • 一時的な作業で付与した権限が残っていないか
  • 外部委託先へ付与した権限に期限が設定されているか

最初から完全な最小権限を設計するのが難しい場合は、利用状況を確認しながら段階的に権限を絞り込みます。IAM Access Analyzerを利用すると、CloudTrailに記録されたアクセスアクティビティをもとにポリシーを生成したり、意図しない外部・クロスアカウントアクセスを確認したりできます。

企業が押さえたいIAM運用のポイント

IAMは、初期構築よりも継続運用で差が出やすい領域です。ここでは、少人数情シスでも押さえておきたい基本を整理します。

1. ルートユーザーを日常業務で使用しない

ルートユーザーは、AWSアカウント内のすべてのサービスとリソースにアクセスできる強力なIDです。

日常的な管理作業には使用せず、ルートユーザーでなければ実行できない操作に限定します。認証情報は厳重に保護し、MFAを設定することが重要です。

2. MFAを有効化する

MFA(多要素認証)は、パスワードなどの認証情報に加えて、別の認証要素を要求する仕組みです。

ルートユーザーや管理権限を持つ利用者をはじめ、人がAWSへアクセスする際にMFAを有効化することで、パスワードが漏えいした場合の不正アクセスリスクを抑えられます。

3. 長期的なアクセスキーを減らす

アクセスキーは、アプリケーションやCLIなどからAWSへアクセスする際に使用します。

ただし、ソースコードや設定ファイルへ直接保存すると、誤公開や漏えいにつながるおそれがあります。AWS上のワークロードにはIAMロールを利用し、長期的なアクセスキーをできるだけ発行しない構成を検討します。

長期的な認証情報が必要な場合も、利用目的と保管場所を明確にし、不要になったキーは無効化・削除します。

4. 退職・異動・委託終了時の権限を見直す

IAM運用で起こりやすいのが、担当者の退職や異動、外部委託契約の終了後も権限が残るケースです。

人事異動や契約終了の手続きと、AWS権限の変更・削除を連動させます。誰がいつ対応するかまで決めておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。

5. 定期的に権限を棚卸しする

作成時には適切だった権限も、業務内容やシステム構成の変化によって不要になることがあります。

IAMユーザー、ロール、ポリシー、アクセスキーなどを定期的に確認し、使われていないものや権限が広すぎるものを見直します。

確認対象 確認内容
ユーザー・ロール 現在も利用されているか、担当者や用途が明確か
ポリシー 必要以上に広い権限が設定されていないか
アクセスキー 長期間使用されていないキーや用途不明のキーがないか
外部アクセス 意図しない外部・クロスアカウントアクセスがないか

少人数情シスでIAMを運用するには

少人数情シスでは、IAMポリシーを細かく作り込むこと以上に、権限管理を属人化させない仕組みが重要です。

担当者だけが設定内容を把握している状態では、異動や退職、障害対応の際に判断できなくなる可能性があります。

少人数情シスで整えたいIAM運用

  • 権限付与・変更・削除の申請ルールを決める
  • ユーザー名やロール名の命名規則を統一する
  • 管理者権限を持つ利用者を限定する
  • 退職・異動・委託終了時の対応手順を決める
  • 定期棚卸しの担当者と実施時期を決める

自社だけで設計や棚卸しを継続するのが難しい場合は、AWS運用支援会社へ一部を委託する方法もあります。ただし、作業を外注しても、誰にどの権限を付与するかという方針や最終判断は利用企業側に残ります。

外部委託できる範囲と企業側に残る責任については、「AWS運用はどこまで外注できる?責任分担の考え方をわかりやすく解説」も参考にしてください。

よくある質問

IAMとIAM Identity Centerの違いは何ですか?

IAMは、AWSアカウント内のユーザー、ロール、ポリシーなどを使ってアクセス権限を管理するサービスです。IAM Identity Centerは、複数のAWSアカウントやアプリケーションへの従業員のアクセスを一元管理するためのサービスです。人が複数のAWSアカウントへアクセスする場合は、IAM Identity Centerなどを利用したフェデレーションが推奨されています。

IAMユーザーは作成しない方がよいですか?

IAMユーザーが全面的に禁止されているわけではありません。ただし、人がAWSへアクセスするために長期的な認証情報を持つIAMユーザーを多数作成するよりも、フェデレーションと一時的な認証情報を利用する方法が推奨されています。既存環境でIAMユーザーを利用する場合は、必要性と権限を定期的に見直しましょう。

IAMロールとIAMユーザーの違いは何ですか?

IAMユーザーは、AWSアカウント内に作成される個別のIDです。IAMロールは固定の認証情報を持たず、人やAWSサービスなどが一時的に引き受けて利用します。EC2やLambdaなどのワークロードには、アクセスキーを埋め込むのではなくIAMロールを利用するのが基本です。

最小権限とは何ですか?

最小権限とは、業務やシステム処理に必要な操作だけを許可し、それ以外の権限を与えない考え方です。誤操作や認証情報漏えいが発生した場合の影響範囲を抑えるために重要です。

IAMの設定や運用は外注できますか?

IAMポリシーの設計、アカウント設定、権限の棚卸しなどを外部へ委託することは可能です。ただし、誰にどの権限を与えるかという方針や最終承認は、利用企業側で管理する必要があります。

まとめ

IAMは、AWSリソースへのアクセスを安全に管理するための認証・認可の基盤です。

IAMユーザー、グループ、ロール、ポリシーの仕組みを理解するだけでなく、最小権限、MFA、一時的な認証情報、定期的な棚卸しを組み合わせて運用する必要があります。

特に少人数情シスでは、複雑な設定を増やすことよりも、誰にどの権限があり、いつ見直すのかを継続的に把握できる状態を作ることが重要です。

AWS環境全体のセキュリティ対策を見直したい場合は、「AWSセキュリティ対策とは?企業側で押さえたい運用ポイントを解説」もあわせてご覧ください。

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