【用語解説】SINETとは?大学・研究機関をつなぐ学術情報ネットワークの全体像

更新日:2025-07-31 公開日:2025-07-31 by Bitmoss

目次

【用語解説】SINETとは?大学・研究機関をつなぐ学術情報ネットワークの全体像大学や研究機関で行われる学術研究では、膨大なデータの収集・分析・共有が欠かせません。これらを支えるために、安定かつ高速なネットワークインフラが必要です。
「SINET(サイネット)」は、全国の大学や研究機関を結ぶ日本の学術情報ネットワークであり、教育・研究活動を下支えする重要な通信基盤です。この記事では、SINETの仕組みや特長、研究現場での活用例について、初心者にもわかりやすく解説します。

SINETとは

SINET(Science Information NETwork)」とは、国立情報学研究所(NII)が構築・運用する学術情報ネットワークで、日本全国の大学・研究機関を高速かつ安全に接続する情報通信インフラです。2022年からは第6世代となる「SINET6」が運用されています。

現在では、約1,000の教育・研究機関がこのネットワークに参加し、300万人以上の研究者や学生が利用しています。SINETは国内だけでなく、欧米やアジアの研究ネットワークとも接続されており、国際的な研究交流にも対応しています。

学術情報ネットワークとは
引用元:学術情報ネットワーク SINET6|学術情報ネットワークとは

提供サービス

SINETでは、インターネット接続をはじめとする、研究・教育活動を支える多彩なサービスを提供しています。ここではその主な機能について紹介します。

インターネット接続

SINETは、高速で安定したインターネット接続を提供しています。加入機関はグローバルIPアドレスを利用して、インターネットを通じた学術情報の送受信が行えます。特に、研究データの転送や大容量ファイルの交換が迅速に行えるため、研究活動において重要な役割を果たしています。

高速通信

SINET上での通信は、インターネットを経由せずに相互接続できるため、より高速かつ安定した通信が可能です。これにより、大容量のデータや複雑な研究成果の共有が円滑に進み、共同研究や実験データの交換がより効率的に行えます。

SINET直結のクラウドサービス

SINETは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどのクラウドサービスと閉域網で接続できる「クラウド接続サービス」を提供しています。インターネットを介さずに安全かつ高速に通信でき、研究データの処理や保存をより効率的に行えます。

クラウド接続
引用元:学術情報ネットワーク SINET6|学術情報ネットワークとは

SINETの特徴とメリット

SINETを利用することで得られるメリットを6つ紹介します。

安定・高速な国内回線

研究や教育活動で必要とされる大量のデータを高速で処理できる国内回線を提供しています。その結果、研究データの送受信を迅速かつ安全に行えるため、研究機関間でのデータ共有や共同研究がスムーズに行えます。
研究・教育データのネットワーク需要拡大に伴い、SINET6では、一部の基幹区間で最大400Gbpsの超高速回線が整備されています。これにより、大量の研究データを迅速かつ安全に転送可能です。

快適なアクセス環境

SINETは全国に接続ポイント(ノード)を設置しており、接続地域を拡大しています。こうした仕組みのおかげで、どの地域からでも快適にアクセスできる環境を提供し、ストレスない研究・教育の実現を目指しています。

柔軟で多様なサービス

ネットワーク仮想化(NFV)技術による制御・管理機能に加え、全国にエッジサーバーを分散配置しており、研究・教育機関の多様な要件に応じたネットワーク構築が可能です。

堅強な国際回線

国際的な研究機関との連携を支えるため、高帯域の国際回線を整備しています。特に、欧米やアジアとの接続を強化し、国際共同研究を支援しています。

研究データ基盤と一体化

クラウドサービス、セキュリティ、学術コンテンツ、研究データと連携し、研究データの安全な保管・利用を支援しています。これにより、研究者は安全にデータの管理や共有を行うことができ、研究活動をより効率的に進められます。
また、あらゆる学術分野に寄与しうるオープンサイエンス発展のため、SINETと研究データ基盤の一体化を推進しています。国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)などと連携し、研究データ基盤の整備にも活用されています。

まとめ

SINETは、国内の大学や研究機関を結ぶ情報通信基盤であり、研究者や学生の学術活動を支える重要な役割を果たしています。高速かつ安定したネットワーク環境を提供することで、研究データの効率的な交換や共同研究を円滑に進めることが可能です。また、国際的な研究ネットワークにも接続しており、グローバルな研究活動をサポートする役割を果たしています。SINETは今後も学術研究の発展に貢献し続けることが期待されています。

【出典】
文部科学省:SINET 導入・運用・活用に関する ガイドブック
SINET6:学術情報ネットワーク SINET6

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