ランサムウェアに感染しても業務は止めない!AWSやさくらのクラウドで実現する耐障害インフラ設計
更新日:2025-11-11 公開日:2025-11-11 by Bitmoss
中小企業も他人事ではない。止まらない仕組みをクラウドで
「うちは中小企業だから狙われない」と思っていませんか?
近年、ランサムウェアの攻撃対象は大企業だけでなく、セキュリティ対策が十分でない中小企業にも広がっています。感染によって業務システムが停止し、復旧まで数週間を要するケースも珍しくありません。
この記事では、AWSやさくらのクラウドを活用し、限られたリソースでも実現できる「止まらないインフラ」の考え方と実践例を紹介します。
ランサムウェア対策の盲点——バックアップだけでは守れない
多くの企業が「バックアップがあるから安心」と考えていますが、最近の攻撃はより巧妙です。バックアップ領域まで暗号化・削除されるケースも増えています。
よくある誤解と実際のリスク
| よくある誤解 | 実際のリスク |
|---|---|
| NASや外付けHDDにバックアップしているから安全 | 同じネットワーク上にあると感染・破壊される可能性あり |
| クラウドストレージに保存しているから安心 | 同期機能により暗号化されたデータも上書きされる危険性 |
| バックアップ担当者にすべて任せている | 権限を持つ人が感染した場合、バックアップも操作される恐れ |
つまり、「バックアップ=安全」ではないのが現実です。求められるのは、“感染しても業務を止めない”ための多層防御設計です。
“耐性設計”という考え方——侵入されても被害を最小化する
ランサムウェア耐性とは、「侵入を完全に防ぐ」ことではなく、「侵入されても被害を最小化する」設計思想です。そのために重要なのが次の3つです。
耐性設計の3つの柱
- ネットワーク分離:社内LAN・クラウド間の通信を最小限にし、横展開を防ぐ。
- 権限制御:IAM(アクセス管理)で操作権限を細かく制御。
- データ多層防御:バックアップ先やスナップショットを別環境に保持。
クラウドならこれらを柔軟に構築でき、オンプレでは難しかった分離構成が容易に実現できます。
AWSで実現する“止まらない”仕組み
AWSでは、クラウドネイティブなセキュリティ機能を組み合わせることで、「感染しても業務を止めない」環境を構築できます。
| 主な機能 | ポイント |
|---|---|
| EBS Snapshot Lock/Recycle Bin | データ削除・上書き防止(WORM運用)、削除からの復元保持 |
| S3バージョニング/Object Lock | データ削除・上書き防止(WORM運用) |
| IAMポリシー分離 | バックアップ操作権限を分離 |
| AWS Backup + CloudWatch | 自動バックアップ+異常検知 |
これらを組み合わせることで、被害を最小限に抑え、早期復旧できる耐性設計が可能になります。
さくらのクラウドで実現する“閉域+可視化”の安心感
さくらのクラウドは、国内データセンターで運用される国産クラウドとして、閉域構成や権限制御を柔軟に設計できます。
閉域+アクセス制御によるリスク低減
- インターネットを介さず、VPNや専用線で接続
- パケットフィルタ/ファイアウォールで送信元IP/ネットワーク・ポートを制御
- APIキー管理で不要な権限を排除
可視化と監視で“気づける”運用へ
- ログ監視とアラートで異常を早期発見
- 管理画面でリソース状態をリアルタイム確認
- 国内サポートによる安心の運用支援
オンプレ+クラウドのハイブリッド構成で“逃げ道”をつくる
「すべてをクラウド化するのは不安」「段階的に進めたい」—そんな企業には、オンプレ+クラウドのハイブリッド構成がおすすめです。
| 構成例 | メリット |
|---|---|
| 社内サーバーを運用しつつ、バックアップ先をAWSに設定 | 災害・感染時もクラウド側から復旧可能 |
| 社内システムはオンプレ維持、DRサイトをさくらのクラウドに構築 | コストを抑えつつ可用性を確保 |
| 社内ADとクラウドIAMを連携 | 権限統合とセキュリティ強化を両立 |
“逃げ道”を確保することが、事業継続の第一歩です。
まとめ——クラウドで“止まらない”仕組みをつくる
ランサムウェア対策は、「感染を防ぐ」から「止まらない仕組みをつくる」時代へ。AWSやさくらのクラウドを活用すれば、中小企業でも実現可能な耐障害インフラを構築できます。
・クラウドの分離・権限管理で“耐性設計”を実現
・オンプレ+クラウドのハイブリッド構成が現実的な選択肢
弊社では、AWS・さくらのクラウド導入支援やセキュリティ設計の相談を承っています。自社環境に最適な構成を検討したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。