さくらのクラウドとAWSを比較|料金・機能・運用の違いと選び方

更新日:2026-09-30 公開日:2024-11-21 by Bitmoss

目次

さくらのクラウドとAWSを比較|料金・機能・運用の違いと選び方さくらのクラウドとAWSは、どちらか一方が常に優れているわけではありません。クラウドを選ぶときに重要なのは、料金だけでなく、必要な機能、運用体制、将来の拡張性、データの取り扱いなどを含めて、自社の要件に合うかを判断することです。

さくらのクラウドは、国内のデータセンターを基盤とし、利用時間に応じた料金体系や、多くの製品でデータ転送量に応じた課金がない料金設計などが特徴です。一方、AWSは世界各地にリージョンを展開し、サーバーレス、データベース、AI、分析など幅広いマネージドサービスを利用できます。

この記事では、さくらのクラウドとAWSの違いを、料金・機能・運用・国内要件などの観点から比較し、どのようなケースでそれぞれを検討しやすいかを整理します。

さくらのクラウドとAWSを6つの観点で比較した一覧表

結論から言うと、国内利用を前提に料金の見通しやすさや、データ転送量に応じた課金を抑えたいならさくらのクラウド、海外展開やサーバーレス・AIなど幅広いマネージドサービスの活用を重視するならAWSが候補になりやすいです。以下で6つの観点から詳しく比較します。

さくらのクラウドとAWSの違い|6つの比較ポイント

まずは、さくらのクラウドとAWSの違いを、クラウド選定で重要な6つの観点から整理します。

1. 料金・コスト

料金の予測しやすさを重視するか、豊富なコスト最適化手段を活用するかが判断ポイントです。

さくらのクラウド

円建てで料金を確認でき、多くの製品ではデータ転送量に応じた課金がないため、構成によっては月々の費用を把握しやすいのが特徴です。

AWS

従量課金を基本とし、サービスや利用量によって料金が変動します。一方で、Savings Plansなど複数のコスト最適化手段が用意されています。

選定ポイント:予算の見通しやすさを重視する場合と、利用状況に応じて細かく最適化することを重視する場合で、適した選択肢が変わります。

2. サービス・機能

必要な機能をシンプルに使うか、多様なクラウドサービスを組み合わせるかで違いがあります。

さくらのクラウド

サーバー、ストレージ、ネットワークなど、IaaSを中心としたクラウド基盤を構成できます。必要な機能を組み合わせながら、比較的シンプルな構成にしやすいのが特徴です。

AWS

コンピューティングやストレージだけでなく、データ分析、サーバーレス、AIなど幅広いサービスを利用できます。クラウド上で高度なシステムを構築したい場合に選択肢が豊富です。

選定ポイント:必要な機能がIaaSを中心に完結するのか、マネージドサービスを幅広く活用する必要があるのかを確認します。

3. 拡張性・グローバル展開

国内を中心に利用するのか、海外を含めて大規模に展開するのかが大きな判断材料です。

さくらのクラウド

国内のデータセンターを基盤としており、日本国内を中心としたWebサイトや業務システムなどで利用できます。システム規模に応じてサーバーやネットワーク構成を拡張することも可能です。

AWS

世界各地にリージョンを展開しており、複数地域へのサービス提供やグローバルシステムの構築に対応しやすいのが特徴です。

選定ポイント:現在のシステム規模だけでなく、将来的な海外展開や複数地域へのサービス提供まで想定して判断することが重要です。

4. 運用・管理

機能の豊富さだけでなく、自社の情シスや運用担当者が無理なく管理できるかも重要です。

さくらのクラウド

IaaSを中心に必要なリソースを組み合わせるため、要件によっては構成や運用ルールを整理しやすい場合があります。国内向けの情報やサポートを利用しながら運用できます。

AWS

多くのサービスや自動化機能を活用できる一方、構成が複雑になると、設計・監視・権限管理・コスト管理など幅広い運用知識が必要になる場合があります。

選定ポイント:クラウドの機能だけでなく、担当人数やスキル、外部の運用支援を含めた自社の運用体制まで考慮します。

5. サポート

問い合わせのしやすさだけでなく、必要な情報を取得し、運用上の問題を解決できる体制があるかも確認しましょう。

さくらのクラウド

国内事業者が提供するクラウドとして、日本語の公式情報やサポートを利用できます。国内の運用担当者にとって情報を確認しやすい点も特徴の一つです。

AWS

日本語のドキュメントが用意されており、日本語でAWS Supportを利用できます。技術サポートの範囲や対応時間はサポートプランによって異なります。また、利用者やパートナーが多く、技術情報やノウハウを探しやすい点も特徴です。

選定ポイント:公式サポートだけでなく、自社で必要な技術情報を取得できるか、運用を支援できるパートナーがいるかまで含めて確認します。

6. 国内要件・データの取り扱い

国内基盤やデータ主権、公共分野の要件を重視する場合は、クラウド事業者やデータ配置も選定条件になります。

さくらのクラウド

日本企業が提供し、国内のデータセンターを基盤とするクラウドです。国内基盤であることやデータの所在を重視する企業・組織にとって、選定候補の一つになります。

AWS

日本国内にもリージョンがあり、国内にデータを配置する構成を選択できます。グローバルに展開するクラウドとして、多様なセキュリティ・コンプライアンス要件への対応を進めています。

選定ポイント:「国産か外資か」だけで判断せず、データの保存場所、契約主体、法令・業界要件、公共分野の調達要件など、自社が満たすべき条件を整理して比較することが重要です。

料金・コストの違い

さくらのクラウドとAWSを比較するとき、最も質問が多いのが料金です。ただし、CPUやメモリが近い仮想サーバーの単価だけを比べても、クラウド全体のコスト差は判断できません。

ストレージ、データ転送、ロードバランサ、バックアップ、監視、サポート、割引制度など、実際のシステムで利用する要素を含めて比較する必要があります。

さくらのクラウドは料金の上限を把握しやすい

さくらのクラウドは、時間額・日額・月額を組み合わせた料金体系を採用しており、利用期間に応じて最も安い料金が自動的に適用されます。目安として、1か月のうち20日以上利用すると月額料金が適用されるケースが一般的です。

また、さくらのクラウドではデータ転送量による従量課金がないと案内されています。一部、個別の料金体系を持つ製品もあるため確認は必要ですが、データ転送量が多いシステムではコストを見積もる際の重要な違いになります。

料金体系や最新価格は、さくらのクラウド公式の料金ページで確認できます。

AWSは利用量に応じた料金とコスト最適化の選択肢が多い

AWSは、多くのサービスで従量課金を採用しています。Amazon EC2だけでも、オンデマンド、Savings Plans、スポットインスタンスなど複数の購入方法があります。

定常的な利用ではSavings Plansなどによってコストを抑えられる場合があります。一方、利用するサービス、リージョン、データ転送量などによって費用が変わるため、構成全体での試算が必要です。

AWSでは料金やコミットメントがUSDで示されるサービスも多く、日本円で請求・支払いできる場合でも、請求条件によって為替換算が関係します。予算管理では、利用量だけでなく契約主体や支払い通貨も確認しておくとよいでしょう。

詳しい料金体系は、AWS公式の料金ページで確認できます。

なお、さくらのクラウド側のコスト設計や、構成によって料金がどう変わるかについては、さくらのクラウドの料金シミュレーションとコスト最適化で詳しく解説しています。

機能・拡張性・運用の違い

料金と同じくらい重要なのが、「何ができるか」と「誰が運用するか」です。クラウドは機能が多ければよいわけではなく、自社が必要とする構成を継続して運用できるかまで考える必要があります。

AWSは多様なサービスを組み合わせやすい

AWSは、仮想サーバーのAmazon EC2だけでなく、データベース、サーバーレス、コンテナ、AI、データ分析など幅広いサービスを提供しています。

複数地域への展開や、マネージドサービスを組み合わせた高度な構成を実現したい場合は、選択肢の多さが強みになります。東京リージョンと大阪リージョンを含め、世界各地のリージョンを利用できることも特徴です。

一方、利用するサービスが増えるほど、設計・権限管理・監視・コスト管理などで検討すべき項目も増えます。特に少人数の情シスで運用する場合は、「実現できるか」だけでなく「継続的に管理できるか」を確認することが重要です。

さくらのクラウドはIaaSを中心に構成を整理しやすい

さくらのクラウドでは、サーバー、ディスク、ネットワーク、ロードバランサなど、システム基盤に必要な機能を組み合わせて構成できます。

2026年9月時点では、石狩第1・第2・第3ゾーン、東京第1・第2ゾーンが提供されています。国内の複数ゾーンを利用した冗長化や、DRを意識した構成も検討できます。

また、2025年には石狩第3ゾーンが開設され、大規模案件の受け入れも強化されています。したがって、「さくらのクラウドは小規模システム向け」と一律に考えるのではなく、必要な性能・可用性・運用要件に合わせて構成を検討することが重要です。

さくらのクラウドを使った運用の考え方は、さくらのクラウドを無理なく始めるための導入・運用ポイントでも詳しく解説しています。

国内要件・ガバナンスで比較するときのポイント

近年は、クラウドの機能や価格だけでなく、データの保管場所、契約主体、調達要件、説明責任などを含めて選定するケースが増えています。

さくらのクラウドは、日本企業であるさくらインターネットが国内のデータセンター基盤で提供するクラウドサービスです。さらに2026年3月には、デジタル庁のガバメントクラウドについて、対象クラウドサービスとして正式に採択されました。

AWSも東京・大阪の国内リージョンを提供しており、国内にワークロードを配置できます。そのため、「国産クラウドなら安全」「海外事業者なら国内要件を満たせない」と単純に判断するのは適切ではありません。

確認すべきなのは、自社や取引先が求める条件に対して、データ保管場所、契約、運用、監査、セキュリティなどをどのように説明できるかです。

データの所在や適用法令まで含めた考え方は、データ主権と海外クラウド利用のリスク・対策も参考にしてください。

さくらのクラウドとAWS、どちらが向いている?

ここまでの違いをふまえると、検討しやすいケースは次のように整理できます。

観点 さくらのクラウドに向くケース AWSに向くケース
利用地域 主に日本国内でサービス・システムを提供する 海外を含む複数地域へ展開する
コスト データ転送量による費用変動を抑えたい 継続的なコスト最適化・自動化に取り組める
構成の複雑さ IaaSを中心にシンプルな構成で管理したい サーバーレスやAIなど高度な構成を組みたい
運用体制 国内基盤で運用負荷を抑えたい AWSを前提とした開発・運用スキルがある
選定条件 国内事業者・国内基盤であることを重視する AWS固有のサービスを利用する要件がある

もちろん、すべてをどちらか一方に統一する必要はありません。システムごとの要件に応じて、AWSとさくらのクラウドを使い分ける方法もあります。

国産クラウドとAWSをより大きな視点で比較したい場合は、国産クラウドとAWSのコスト・データ主権・運用負荷の違いもあわせてご覧ください。

クラウド選定前に確認したい5つのポイント

クラウドを比較するときは、製品名から選ぶのではなく、先に自社の条件を整理すると判断しやすくなります。

  1. 必要な機能を整理する
    仮想サーバーやネットワークが中心なのか、サーバーレス、AI、分析などのマネージドサービスまで必要なのかを確認します。
  2. 総コストを試算する
    サーバー料金だけでなく、ストレージ、データ転送、バックアップ、監視、サポート、運用工数まで含めて比較します。
  3. 運用体制を確認する
    情シスの人数、クラウドの専門知識、夜間・休日対応の有無などを確認します。高機能な構成でも、継続運用できなければ負担になります。
  4. 将来の拡張性を考える
    国内利用が中心なのか、海外展開や大規模な拡張を予定しているのかを整理します。
  5. 国内要件・ガバナンスを確認する
    データ保管場所、契約条件、監査、公共・準公共案件の調達要件など、社内外へ説明が必要な条件を整理します。

この5点を整理すると、「有名だからAWS」「国産だからさくらのクラウド」という選び方ではなく、自社に必要な条件から比較できるようになります。

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さくらのクラウドそのものの特徴や料金体系を確認したい方は、さくらのクラウドの特徴・料金・AWSとの違いも参考にしてください。

さくらのクラウドとAWSについてよくある質問

Q. さくらのクラウドとAWSはどちらが安いですか?

一律には比較できません。必要なCPU・メモリだけでなく、ストレージ、データ転送、バックアップ、監視、割引制度などによって総額が変わります。さくらのクラウドは多くの製品でデータ転送量に応じた課金がなく、目安として20日以上利用すると月額料金が適用されるケースが一般的です。一方、AWSはSavings Plansなどのコスト最適化手段があります。実際の構成で試算することが重要です。

Q. さくらのクラウドとAWSの大きな違いは何ですか?

主な違いは、提供地域、料金体系、サービスの幅、運用の考え方です。さくらのクラウドは国内のリージョン・ゾーンで提供され、IaaSを中心に構成できます。AWSは世界各地にリージョンを持ち、多様なマネージドサービスを組み合わせられます。

Q. AWSからさくらのクラウドへ移行できますか?

移行を検討できますが、現在利用しているAWSサービスやシステム構成によって、移行方法や工数、代替サービスの有無が変わります。Amazon EC2を中心とした構成と、AWS固有のマネージドサービスを多用した構成では移行難易度が異なるため、事前の棚卸しと移行設計が必要です。

Q. さくらのクラウドは大規模なシステムにも利用できますか?

大規模システムでの利用も検討できます。2025年には石狩第3ゾーンが開設され、大規模案件の受け入れが強化されました。ただし、必要な性能、可用性、拡張性、利用する機能によって適否は変わるため、システム要件に基づいて判断する必要があります。

Q. 国内クラウドを選べばデータ主権の問題は解決しますか?

国内クラウドを選ぶだけですべての課題が解決するわけではありません。データの保管場所だけでなく、契約主体、適用法令、運用権限、委託先、バックアップ先なども含めて確認する必要があります。重要なのは、自社の要件に対して説明できる構成と運用を設計することです。

まとめ|「どちらが優れているか」ではなく、自社に合うクラウドを選ぶ

さくらのクラウドとAWSには、それぞれ異なる特徴があります。

  • 料金の見通しやすさや国内利用を重視する場合は、さくらのクラウドを比較候補にしやすい
  • グローバル展開や多様なマネージドサービスを活用する場合は、AWSの選択肢が広い
  • 料金だけでなく、機能、運用体制、拡張性、国内要件まで含めて比較する
  • システムによっては、AWSとさくらのクラウドを使い分ける方法もある

クラウド選定で重要なのは、サービスの知名度や単純な価格差ではなく、自社のシステム要件と運用体制に合う理由を説明できることです。

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