はじめてのBCP&DR入門|クラウドとバックアップで「会社を止めない」超シンプル3ステップ
更新日:2025-07-24 公開日:2025-07-24 by アツシバ
なぜ今 “クラウド×バックアップ” なのか?
近年の大規模地震や集中豪雨だけでなく、ランサムウェア攻撃も増加傾向にあります。
警察庁によると、2024年に日本で報告されたランサムウェア攻撃は222件。そのうち約半数(49%)が中小企業を標的とし、被害の復旧には1か月以上かかったケースもありました。
このように「もし明日サーバーが止まったら?」という問いは、中小企業にも無視できないリアルな課題です。しかし、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧計画)という言葉に身構える必要はありません。
最近では、月数千円のクラウドバックアップから始めて、段階的にBCP/DR体制を強化できる時代になりました。
クラウドは「従量課金」「リージョン間の高速転送」「自動化」といった特性から、BCP/DRとの相性が非常に良く、今回はコストと手間を抑えつつ最短3ステップで社内導入できるガイドをご紹介します。
そもそもBCPとDRは何が違う?
BCP(Business Continuity Plan)=会社全体が止まらないようにする“防災マニュアル”
|
ざっくり言えば、BCPは生命線全体、DRはITの応急処置。どちらも“バックアップ”が土台になります。
クラウドバックアップが「最初の一歩」に最適な理由
⭕ 初期費用ほぼゼロ:Amazon S3 スタンダードなどが月額数千円〜⭕ 従量課金+拡張自由:容量もリージョンも随時追加可能
⭕ 場所を選ばず保管:災害地域以外にデータが残る安心感
超シンプル3ステップで始めるBCP/DR
ステップ | 目的 | 内容 | 目標(RTO/RPO) | 概算費用 |
---|---|---|---|---|
Step1 | クラウドバックアップ | 週1回共有フォルダやDBをクラウドにコピー | 72h / 24h | ¥3,000〜/月 |
Step2 | Pilot Light DR | AWS Backup等で毎日スナップ&別リージョン転送 | 24h / 8h | ¥10,000〜/月 |
Step3 | ウォームスタンバイ | 小型インスタンスを別リージョンに待機/DNS自動切替 | 1h / 15m | ¥30,000〜/月 |
Point!
|
中小企業の設定例(スモールスタート)
-
ファイル共有 → Amazon S3で週次フル同期+バージョニング+低コスト階層へ自動移行
-
データベース → AWS RDS+Backupで毎日スナップ、7世代保持、別リージョンコピー
-
サーバー → EC2スナップショットを週1、障害時の復旧テストを隔月実施
よくあるご質問
Q1:SaaSしか使っていないが、BCP/DRは必要?
→ はい。SaaSが落ちた時の契約情報・ログ・バックアップを外部に持つ対策も重要です。
Q2:DRサイトは小規模企業では大げさでは?
→ Step1〜2は“保険料”感覚で始められます。RTO/RPOを社内で共有すれば稟議も通りやすくなります。
Q3:テストが面倒?
→ IaC(Infrastructure as Code)で、「深夜の自動テスト」 →「 翌朝メールで結果受信」が主流です。
今すぐできるチェックリスト
✅重要データの洗い出し ✅バックアップ先クラウドの決定 ✅週次同期バッチとテスト復元の確認 ✅RTO/RPOを経営と合意 ✅1か月後にStep2導入の可否レビュー |
まとめ:バックアップはBCP/DR成功のカギ
BCPは“会社全体を守る傘”、DRは“IT復旧のレインコート”です。
クラウドなら安価に小規模スタート可能です。
「バックアップ → 自動スナップ → ウォームスタンバイ」という順序で強化し、まずは今週中にクラウドバックアップ設定を始めましょう。その一歩が将来の大損失を防ぐ最大の投資になります。
フューチャースピリッツは AWS・さくらのクラウド・自社ホスティングを活用し、
中小企業のBCP/DR導入を支援します。
「社内だけでは不安…」という方はぜひご相談ください。
参照サイト
警察庁:サイバー空間をめぐる脅威の情勢等 2024年版の国内サイバー犯罪レポート |