【用語解説】ガバメントクラウドとは?仕組み・対象クラウド・自治体クラウドとの違いを解説

更新日:2026-04-20 公開日:2024-11-28 by アツシバ

目次

【用語解説】ガバメントクラウドとは?仕組み・対象クラウド・自治体クラウドとの違いを解説社会全体でデジタル化が進む中、自治体においてもガバメントクラウドの導入が注目されています。ガバメントクラウドとは、政府が整備する共通のクラウド基盤を活用し、行政サービスのデジタル化や標準化を推進するための取り組みです。

本記事では、その仕組みやメリット、自治体クラウドとの違いについて整理して解説します。ガバメントクラウドの導入によって、自治体の業務運営がどのように効率化されるかを理解し、適切に利用しましょう。

ガバメントクラウドとは

ガバメントクラウドは、行政が共通のクラウド基盤を利用して、システムを効率的に管理・運用するための環境です。この仕組みによって、地方自治体は個別にシステムを開発する必要がなくなり、システムの導入や運用の手間を大幅に軽減できます。

政府共通のクラウドサービスの利用環境です。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供し改善していくことを目指します。地方公共団体でも同様の利点を享受できるよう検討を進めます。
https://www.digital.go.jp/policies/gov_cloudより引用


ガバメントクラウドを理解するうえで、ISMAP制度の理解は不可欠です。

政府クラウドでは、クラウドサービスのセキュリティを評価する制度としてISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)が採用されています。

ISMAPは政府情報システムで利用するクラウドサービスのセキュリティ基準を定めた制度であり、クラウド選定や構成設計において重要な前提となります。

制度の概要や確認方法については、「ISMAPとは?」の記事で詳しく解説しています。ISMAPの対象範囲や責任分界については、「言明対象範囲」「ISMAPとISMAP-LIUの違い」もあわせて確認しておくと理解が深まります。

ガバメントクラウドの仕組み

ガバメントクラウドでは、政府が共通のクラウド基盤(IaaS*1、Paa*²、SaaS*³)を利用して、自治体向けに必要なアプリケーションやサービスを提供しています。これにより、各自治体は個別にシステムを開発することなく、クラウドサービスを通じて必要な機能を選択し、導入できます。

また、ガバメントクラウド上に配置されたデータは標準化されて格納されるため、異なるアプリケーション間でのデータ連携もスムーズに行うことができます。

実際の構成設計については、「ISMAP対応クラウド構成の作り方」で詳しく解説しています。

*1IaaS(Infrastructure as a Service):システムを構築するためのインフラをクラウド上で利用できるサービス
*2PaaS(Platform as a Service):アプリケーションを開発するためのプラットフォームをクラウド上で利用できるサービス
*3SaaS(Software as a Service):クラウドにあるアプリケーションやソフトフェアを利用できるサービス

ガバメントクラウドの構成図。上部にA社、B社、C社が提供する住基アプリケーション、A社とD社が提供する地方税アプリケーションがあり、それらが共通的な基盤(IaaS、PaaS、SaaS)上で動作。基盤にはX市とY市のデータが格納され、それぞれ回線で接続されている。

複数ベンダーが提供する住基・地方税アプリを共通クラウド基盤(IaaS・PaaS・SaaS)上で運用し、X 市・Y 市のデータを格納するガバメントクラウド構成図【総務省|地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況】より引用

ガバメントクラウドを導入するメリット

ガバメントクラウドを導入することによって得られる主なメリットについて紹介します。

情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張

ガバメントクラウドが提供する機能を活用することで、すでに用意されたクラウド基盤を利用してシステムを迅速に構築できます。これにより、システム導入にかかる時間を大幅に短縮することができ、新しいサービスをより早く利用者に届けることが可能になります。また、システム導入後もシステム負荷やアクセス数の増減に応じて、容量や機能を柔軟に拡張することができます。

情報セキュリティの強化

ガバメントクラウドのシステムに関連する情報セキュリティ対策は、クラウドサービスを提供する事業者(または政府の委託先)が運用を行います。そのため、自治体は個別にセキュリティ対策を行う必要がなく、最新のセキュリティ技術を導入できます。これにより、自治体など個別の団体では難しかった高いセキュリティ水準を維持することが可能となります。

庁内外のデータ連携の容易化

共通のクラウド基盤を利用することで、アプリケーション間のデータ移行や連携が円滑になります。これにより、複数の部署や自治体間での情報共有が容易になり、行政サービスの効率化が進みます。

自治体クラウドとの違い

ガバメントクラウドと自治体クラウドは、どちらも自治体向けのクラウドサービスですが、運営主体に違いがあります。ガバメントクラウドでは政府が運営を行っており、中央官庁や全国の地方自治体向けのシステムを対象としています。一方で自治体クラウドは、複数の地方自治体が共同で運営し、自治体ごとの情報システムを集約・標準化することを目的としています。

現在はガバメントクラウドへの移行が前提となりつつあり、従来の自治体クラウドとの違いを理解したうえで対応を進める必要があります。

特に近年は標準化の流れにより、ガバメントクラウドを前提としたシステム移行が進められています。

ガバメントクラウド対象クラウドサービス

ガバメントクラウドで利用できるクラウドサービスは、日本政府が定めた「ISMAP(イスマップ)」というセキュリティ評価制度に基づいて選ばれた登録先からサービスを選択することが原則とされています。

2024年時点では「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」「Google Cloud」「Microsoft Azure」「Oracle Cloud Infrastructure」「さくらのクラウド」と呼ばれる5つのサービスがガバメントクラウド対象となっています。

クラウドサービス 提供企業 特徴
Amazon Web Services Amazon Web
Services, Inc.
拡張性や高い可用性が特徴で、
日本語によるサポートも充実している
Google Cloud Google LLC ビッグデータ分析やAI開発、機械学習などに関する
サービスが充実している
Microsoft Azure Microsoft Corporation 国際基準や規格に準拠した高いセキュリティ機能が備えられており、大企業でも多く導入されている
Oracle Cloud Infrastructure Oracle Corporation エンタープライズ向けのクラウドサービス
3大クラウドサービスと同等の機能が低コストで提供されている
さくらのクラウド さくらインターネット株式会社 ガバメントクラウド初の国産サービス

 

対象クラウドの最新情報や登録状況については、ISMAPクラウドサービス一覧でも確認できます。
どのクラウドを選ぶべきかは、要件や構成によって変わるため、一覧だけでなく設計観点での検討も重要です。

なお、こうした政府指定のクラウドを利用するにあたっては、「データの保管場所や主権がどこにあるか」といった観点も重要視されるようになってきました。
こうした流れの中で、自国の法律に基づいてクラウドを運用すべきとする考え方=「ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)」への注目も高まっています。

こうした流れの中で注目されるソブリンクラウドについても、クラウド選定の観点から理解しておく必要があります。

ガバメントクラウド対応を進める際は、制度理解だけでなく、クラウド選定や構成設計まで含めて検討することが求められます。

まとめ

ガバメントクラウドは、自治体が効率的かつ迅速にシステムを構築・運用するための重要なツールです。基幹業務システムを利用するすべての地方公共団体は、原則2025年度(令和7年度)までにガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへの移行が求められています。

ガバメントクラウドを導入することで地方自治体は、コスト削減や運用・保守の手間を大幅に軽減できるため、標準準拠システムへの円滑な移行を進めることが求められます。

出典
デジタル庁:地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化
デジタル庁:地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用について【第2.1版】

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