「ソブリンクラウド」という選択肢ークラウドに問われる「データの主権」
更新日:2025-12-17 公開日:2025-04-17 by 福

クラウド活用が当たり前になった今、私たちはいつの間にか 「データの置き場所」 に無頓着になっていないでしょうか。
利便性やグローバル展開のしやすさから海外クラウドを採用する企業も多い一方で、 その選択に伴う 見落とされがちなリスク にも、改めて注目が集まっています。
たとえば、どの国の法律がそのクラウドに適用されるのか、 いざというときにどの国がデータへアクセスできるのかといった 「データ主権」 の問題です。
加えて、国際的な経済摩擦の影響や外国の法制度との整合性リスクなど、 クラウドにおける 法的な境界線 が、企業のITガバナンスに直接関わる時代が訪れています。
なぜ今「ソブリンクラウド」なのか
こうした中で注目されているのが、 「ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)」 という考え方です。
ソブリンクラウドとは、データの保存場所(データセンター)や管理主体を自国に限定し、 法的リスクや情報漏えいの不安を抑えるクラウド運用のあり方 を指します。
国家や公共機関、医療・教育など 機密性の高いデータを扱う分野では特に重視されており、 「どこで・誰によってデータが保管・処理されるか」 がクラウド選定の重要な判断軸となっています。
この考え方は特定の業種に限られたものではありません。 海外法の適用リスクや地政学的リスクを回避するため、 民間企業においても 自国の法制度に準拠し、国内で完結するクラウド環境 へのニーズが高まりつつあります。
国内での確実なデータ運用、迅速な障害対応、 監査や証跡管理を国内法に準拠して行えることなど、 情報主権を守るうえでの安心感 がソブリンクラウドの大きな価値です。
GDPRは「他人事」ではない
近年、特に欧州連合(EU)が定めた GDPR(一般データ保護規則) への関心が高まっています。
日本国内で事業を行っている企業であっても、 EU市民の個人データを扱う場合には、 データの保管場所や通信経路 がGDPRの規制対象となる可能性があります。
実際に、日本企業でも以下のような事例があります。
- NTTデータのスペイン子会社がGDPR違反で制裁金を受ける
- トヨタ自動車がGDPR対応のため欧州拠点を設立
- 任天堂がGDPR準拠のプライバシーポリシーを公開
これらの事例は、 日本企業であってもデータの越境移転が避けられない課題 であることを示しています。
そのため、あらかじめ国外にデータが移転しない構成をとる ソブリンクラウドの重要性 が再認識されているのです。
海外クラウド利用に伴う主なリスク
- 外国法の適用リスク(例:米国CLOUD法)
海外クラウドでは、たとえ日本国内に保存されたデータであっても、 外国政府からの開示要求を受ける可能性があります。 - データ主権の喪失
自国の法律や監督下から外れることで、 管理・統制が難しくなるおそれがあります。 - 障害対応・サポートの遅延
海外拠点のみのサポート体制では、 日本語対応や初動対応に時間を要する場合があります。 - 監査・証跡取得の困難さ
監査対応や証跡管理が十分に行えないケースもあります。
「さくらのクラウド構築・運用パック」という選択肢
当社では、国産クラウドの代表格である 「さくらのクラウド」構築・運用パック を提供しています。
北海道・石狩の国内データセンターを基盤とし、 国内企業による管理・運用が徹底されたソブリンクラウド として、多くの実績があります。
ISMAP対応や、医療・教育・自治体など公共分野での導入実績も豊富 で、信頼性・安全性の面でも高く評価されています。
インフラ設計から運用保守、BCPを見据えた構成提案まで ワンストップで対応できる点も特長です。
フューチャースピリッツができること
私たちは、 国内外クラウド双方の特性を理解したうえで、 お客様に最適な構成を提案・運用すること を強みとしています。
AWSなどの海外クラウドの強みを活かしつつ、 国産クラウドを もうひとつの柱として併用 することで、 セキュリティ・可用性・法規制対応のリスクを軽減できます。
海外クラウドに不安や課題を感じた際は、 ぜひお気軽にご相談ください。 国内クラウドを含めた 最適なクラウド構成 をご提案します。