企業がシステムを新しく導入・改善する際、最も重要なのは 「自社のニーズを満たす最適な解決策を選ぶこと」 です。
すべての企業が必ずしもAWSの導入が最善策というわけではありません。 しかし、AWSには柔軟かつ高コストパフォーマンスなソリューションが多数用意されており、 特定の課題に対して最適な解決策を提供できるケースが多くあります。
本記事では、AWSのメール配信サービスAmazon SESとサーバーレス環境のAWS Lambdaを活用し、 「メールサーバーを構築することなく、お客様の要件を満たすメール送信機能を実現した事例」 を紹介します。
「どのようなケースでAWSが最適なのか」「スモールスタートが有効なのはどのような場合か」を考えている方にとって、 選択のヒントになる内容となっています。
1. 背景：システム統合に伴うメール送信の課題
ある企業様より、サイト統合に伴い、新たなシステムを導入する際の メール送信方法をどのように設計すべきかについてご相談をいただきました。
具体的には、 「メール送信専用で良いので、コスト・保守性・セキュリティを考慮した最適な仕組みを提案してほしい」 というご要望でした。 オンプレミス型のメールサーバーだけでなく、クラウドサービスの利用も含めて検討されていました。
ヒアリングを進める中で、次のような要件が明確になりました。
- メールは送信専用で、受信は不要
- 送信履歴を確認できるよう、ログの保存が必要
- セキュリティ担保のため、アカウント認証に加えて送信元IPアドレスによる制限が必要
これらの要件を踏まえ、フューチャースピリッツでは お客様の運用環境やご要望に応じた複数の構成案を検討しました。
2. AWSによる最適な解決策の提案
企業のニーズは 「新たに導入するシステムから送信専用のメール基盤を利用したい」 というものでした。
営業担当がヒアリングを行い、エンジニアチームと連携しながら、 以下の選択肢を含めた複数の案を検討しました。
- 当社のレンタルサーバーサービス （フューチャーウェブ プロ/VPS） をメールサーバーとして利用する案
- AWSのメール送信サービスである Amazon Simple Email Service（Amazon SES）を要件に合わせて活用する案
レンタルサーバーが選ばれなかった主な理由
- メール受信が不要なため、機能が過剰である
- メンテナンスに伴う一時停止が避けられず、可用性に不安があった
- 送信専用用途として、よりシンプルで低コストな構成が求められていた
システム連携において必要とされた要件
- 送信ログを保存・検索できること
- SMTPによる一般的なメール送信が可能であること
- 導入システム以外からの送信を制限できること
これらの要件に対し、AWSの各種サービスを組み合わせることで すべて実現可能であると判断しました。
その結果、 Amazon SES・AWS Lambda・Amazon DynamoDB・IAM を組み合わせたサーバーレス構成を採用しました。
AWSを採用した理由
- 大量のメール送信にも対応可能：送信数制限に悩まされることなく、安定した配信が可能
- 運用コストの削減：不要な受信機能を省き、必要最小限の構成を実現
- 既存システムとの高い親和性：APIやSMTP連携によりスムーズな統合が可能
- 将来的な拡張性：小規模スタートから業務拡大に応じて柔軟にスケール
- 迷惑メール対策も標準対応：SPF・DKIM・DMARCによる信頼性向上
- 運用・保守の簡素化：サーバー管理が不要で、長期的な運用負担を軽減
3. 今回のシステム構成のポイントと工夫
今回の構成では、単なるメール送信にとどまらず、 配信管理・セキュリティ・拡張性 を重視した仕組みをサーバーレスで構築しました。
Amazon SESの配信結果（成功・バウンス・苦情など）をトリガーに AWS Lambdaを自動実行し、結果をAmazon DynamoDBへ保存することで、 送信履歴の可視化とトラブル対応の迅速化を実現しています。
また、SMTP認証に加えて送信元IP制限を設定することで、 許可されていない環境からの不正送信を防止し、 セキュリティ面でも高い安全性を確保しました。
4. まとめ
AWSの導入は難しそうに感じられがちですが、 適切な設計を行うことで コストを抑えつつ、高い信頼性と拡張性を備えたシステム を構築することが可能です。
フューチャースピリッツでは、 AWSを含む複数の選択肢の中から最適な構成をご提案 し、導入から運用・保守まで一貫してサポートしています。
AWSに詳しくなくても問題ありません。 まずはお気軽に無料相談をご活用ください。
