【2026年版】IPA「情報セキュリティ10大脅威」とは?優先すべき対策と判断軸

更新日:2026-02-24 公開日:2026-02-24 by Bitmoss

目次

futuremedia-262-mainIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が毎年発表する「情報セキュリティ10大脅威」は、企業にとって“今どのリスクを優先すべきか”を判断するための重要な指標です。

単なる脅威のランキングではなく、限られた予算・人材の中で、どのリスクから対策を講じるべきかを見極めるための実務的な判断材料といえます。

2026年版では、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃といった継続的な脅威に加え、AI活用の拡大に伴う新たなリスクも注目されています。

本記事では、10大脅威の概要を整理したうえで、

  • 情シス担当者が実務として何を見直すべきか
  • 情シス責任者がどのように優先順位を決めるべきか
  • 経営層がどの観点で投資判断を行うべきか

を解説します。

IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」とは何か

「情報セキュリティ10大脅威」は、前年に発生した重大なインシデントや攻撃事例をもとに、専門家の投票によって選出される公式ランキングです。

組織向けと個人向けに分かれており、企業にとって重要なのは「組織向け」のランキングです。

特徴は次のとおりです。

  • 実際に発生した事例に基づく現実的なリスク
  • 継続して上位に入る“構造的脅威”が存在
  • 技術トレンドや社会変化を反映した新規リスクが加わる

つまり、流行ではなく、現実に起きている経営リスクの可視化といえます。

参考:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」公式ページ


以下は、主要脅威を事業影響度と発生可能性で整理した図です。情報セキュリティ10大脅威を発生可能性と事業影響度で分類したマトリクス

2026年版の特徴|継続リスクと新規リスク

2026年版で特に注目すべきポイントは以下の3点です。

1. 事業停止型リスクの常態化

ランサムウェアは依然として深刻で、暗号化に加えてデータ窃取・二重脅迫が一般化しています。単なる情報漏えいではなく、事業継続そのものを脅かす攻撃へと進化しています。

2. サプライチェーン攻撃の高度化

自社が堅牢でも、委託先や取引先経由で侵害されるケースが増えています。セキュリティはもはや「自社内対策」だけでは完結しません。

3. AI活用に伴う新たな管理課題

生成AIの利用拡大により、機密情報の入力や誤出力の利用など、利便性とリスク管理のバランスが新たな経営課題になっています。

なぜ今、サイバーリスクは経営課題なのか

かつてセキュリティはIT部門の課題とみなされがちでした。しかし現在は以下の理由から、明確な経営課題になっています。

直接損失の拡大

  • 身代金支払い
  • システム復旧費用
  • 外部フォレンジック費用
  • 法的対応費用

間接損失の深刻化

  • 取引停止
  • ブランド毀損
  • 株価影響
  • 顧客離脱

規制・監督の強化

行政指導や開示義務の強化により、インシデント発生時の経営責任が明確化しています。

セキュリティ投資はコストではなく、事業継続のためのリスクマネジメント投資と捉えるべき段階に来ています。

【結論】優先すべき3つのリスク

多くの企業にとって、優先度が高いのは以下の3つです。

  1. ランサムウェア
  2. サプライチェーン攻撃
  3. DDoS等によるサービス停止

これらは発生可能性と事業影響の双方が高く、経営レベルでの優先対応が必要です。

経営インパクト別に見る主要脅威

事業停止リスク(ランサムウェア/DDoS)

ランサムウェアは以下の流れで被害が拡大します。

  1. フィッシングやVPN経由で侵入
  2. 権限昇格・横展開
  3. データ窃取
  4. 暗号化
  5. 二重脅迫

重要なのは「侵入防止」だけではありません。
侵入前提での復旧力確保(バックアップ設計・復旧訓練)が不可欠です。

DDoS攻撃については、ボリューム型とアプリケーション層攻撃があります。
外部公開サービスを持つ企業では、下記のようなCDNやWAFを活用した多層防御が有効です。CDN/WAFとバックアップを含む多層防御の概念図

CloudflareのようなCDN/セキュリティプラットフォームの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【用語解説】Cloudflareとは?仕組み・できること・ISMAP登録状況までわかりやすく解説

信用毀損リスク(情報漏えい/内部不正)

情報漏えいは単発事故では終わりません。
損害賠償・監督官庁報告・再発防止策公表など、長期的な対応が必要になります。

内部不正対策では、

  • 権限の最小化
  • 定期的な棚卸し
  • ログ監査
  • 職務分掌

といった統制設計が重要です。

サプライチェーンリスクとISMAP

クラウド事業者や委託先のセキュリティ水準を確認するうえで、ISMAP登録状況は判断材料の一つになります。

ISMAPの制度概要やクラウド選定時の確認ポイントについては、以下の記事も参照してください。
ISMAPとは|政府・自治体のクラウド調達で必要な要件と確認ポイント

新技術起因リスク(AI・クラウド設定不備)

生成AIに機密情報を入力することによる情報流出や、クラウド設定ミスによる公開事故は、運用ルールの未整備が原因となるケースが多く見られます。

技術対策と同時に、

  • 利用ポリシー整備
  • 入力ルール明文化
  • 利用ログ管理

が求められます。

自社リスク評価の進め方(実務ステップ)

優先順位を決めるための簡易ステップを示します。

1. 資産の洗い出し

顧客データ、基幹システム、ECサイトなど重要資産を整理します。

2. 重要度分類

売上への影響度で分類します。

3. 想定脅威の整理

10大脅威と照合します。

4. 影響度算定

停止時間や損失規模を概算します。

5. 優先順位決定

発生可能性 × 影響度 × 対策コストで判断します。

中堅・中小企業が陥りがちな課題

  • 対策が属人化している
  • 委託先任せになっている
  • 復旧テストを実施していない

脅威そのものより、体制の弱さが被害拡大につながります。

今すぐ見直すべきチェックリスト

技術・ガバナンス・経営の3分類チェックリスト

技術対策

□ オフラインバックアップ取得
□ 復旧テスト実施(年1回以上)
□ 管理者MFA適用
□ WAF/CDN導入
□ クラウド設定監査

ガバナンス

□ 委託先要件の契約明記
□ 権限棚卸し(半年から1年に1回)
□ 退職者アカウント即時停止
□ ログ保存・監視体制整備
□ AI利用ポリシー整備

経営レベル

□ 経営会議でサイバーリスクを定期報告
□ RTO/RPO定義
□ 投資優先順位の明文化
□ 広報・法務フロー整備
□ 訓練(机上演習)

まとめ|10大脅威は経営の意思決定材料である

情報セキュリティ10大脅威は、技術ランキングではありません。
それは企業存続に直結する経営リスクの整理です。

ランキングを読むだけで終わらせず、自社の優先順位に置き換えて具体的な行動に落とし込むことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 情報セキュリティ10大脅威とは何ですか?

A. 情報セキュリティ10大脅威とは、IPAが前年の重大なサイバーインシデントをもとに、企業や組織が優先して対策すべきリスクを整理した公式ランキングです。対策の優先順位を決める判断材料として活用できます。

Q2. 2026年版で特に注目すべきポイントは何ですか?

A. 2026年版では、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃など事業継続に直結する脅威が引き続き重視されています。加えて、AI活用の拡大に伴う新たなリスクにも注意が必要です。

Q3. 企業は10大脅威をどう活用すればよいですか?

A. ランキングを読むだけでなく、自社の重要資産と照合し、発生可能性と事業影響度で優先順位を整理するのが有効です。投資判断や対策ロードマップの見直しに使えます。

Q4. 情シス担当者がまず見直すべき対策は?

A. バックアップの設計と復旧テスト、管理者アカウントへのMFA適用、クラウド設定の監査、外部公開サービスへのWAF/CDNの導入など、被害拡大を防ぐ基本対策の徹底が優先です。

Q5. 経営層が重視すべき判断軸は何ですか?

A. 対策コストだけでなく、事業停止による損失、ブランド毀損、復旧までの時間(RTO)などを総合的に評価することが重要です。セキュリティを経営リスクとして扱う視点が求められます。

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