さくらのクラウドの料金を徹底解説|AWS利用者が知っておくべきコスト最適化のポイント

更新日:2025-10-14 公開日:2025-10-14 by アツシバ

目次

|AWS利用者が知っておくべきコスト最適化ポイントクラウドサービスを選ぶ際、料金体系の分かりやすさと総コストの見通しは重要な判断基準です。Amazon Web ServicesAWS)などの外資系クラウドを利用していると、米ドル建て料金や複雑な従量課金に頭を悩ませることも少なくありません。

本記事では、AWSなどの外資系クラウドの利用経験がある方に向けて、さくらのクラウドの料金体系とコスト削減のポイントを解説します。従量課金や円安の影響に悩んでいる方に、国産クラウドならではのメリットを具体的に紹介します。
本記事の料金情報は2025年9月時点のものです。最新の料金は公式サイトをご確認ください(※1)

さくらのクラウドの料金体系サーバー料金とディスク料金のみ

さくらのクラウドの料金は「サーバープラン」と「ディスクプラン」の合計で構成されます。一般的なクラウドで見られるデータ転送量やリクエスト数に応じた従量課金はなく、時間額・日額・月額のうち最も安い料金が自動適用されます(※1)

また、仮想サーバーを停止している間はサーバー料金が課金されないため、夜間のみ稼働するバッチ処理や、障害時のコールドスタンバイ環境でも無駄なコストを抑えられます。一方、ディスクは停止中も課金されるため注意が必要です。料金はすべて円建てで提示されるため為替変動の影響を受けず、予算管理がしやすい点も大きな魅力です(※2)

サーバープランの料金例(代表例)

仮想CPU(vCPU)とメモリ量によってサーバープランが決まります。以下の表は石狩第一リージョンにおける標準サーバープランの一部を示したものです(税込)。なお、1か月は20日以上の利用で月額が適用され、それ未満の利用は日額・時間額が適用されます。

vCPU/メモリ 月額 日額 時間額
1コア/1GB 1,540円 77円 7円
2コア/4GB 4,620円 231円 23円
4コア/8GB 9,240円 462円 46円
8コア/16GB 18,480円 924円 92円
16コア/32GB 36,960円 1,848円 184円

詳細なプランは公式ページをご確認ください(※3)

ディスクプランの料金例(代表例)

ディスクは高速なSSDプランと容量単価の安い標準プランから選択できます。以下の表は石狩第一リージョンにおけるディスク料金を示しています(税込)。
SSDプランは標準プランより高価ですが、IOPS性能が高くデータベース用途に適しています。一方、標準プランは大容量を安価に利用したいバックアップ用途に向いています。なお、ディスク料金はサーバー停止中でも課金対象となる点にご注意ください。

容量 SSDプラン月額 標準プラン月額
20GB 440円
40GB 1,540円 880円
100GB 3,850円 2,200円
250GB 9,625円 5,500円

詳細は公式ページをご確認ください(※4)

具体的な利用ケース別の料金例

🔸小規模Webサイト(1コア1GB + 40GB SSD)
約3,080円/月(サーバー1,540円 + ディスク1,540円)

🔸中規模Webアプリ(4コア8GB + 100GB SSD)

約13,090円/月(サーバー9,240円 + ディスク3,850円)

🔸データベースサーバー(8コア16GB + 250GB SSD)

約28,105円/月(サーバー18,480円 + ディスク9,625円)

これらはサーバー+ディスク合計が固定費であり、トラフィック由来の追加費用は発生しません。ただし、サーバー台数やスペックを増強した場合はその分コストが増加します。

従量課金がないメリットと注意点

さくらのクラウドはデータ転送量やリクエスト数に応じた課金がないため、動画配信や大容量配布など高トラフィック用途でコスト予測が容易です(※1)
AWSでは東京リージョンで100GB/月までは無料、以降10TBまでは0.114ドル/GBと段階課金があるため、トラフィック次第で月額費用が変動します(※6)

ただし、以下の点にご注意ください。

⚠️ロードバランサーやVPCルーターなど一部アプライアンスは有料オプション
これらのアプライアンスを利用する場合は別途料金が発生します。
⚠️ウェブアクセラレータ(CDN機能)
グローバルでのコンテンツ配信を高速化したい場合は、別途有料のウェブアクセラレータを利用できます。
⚠️データ転送無料は国内向けトラフィックが主な想定
海外からのアクセスが多い場合、レイテンシーの観点で不利になる可能性があります。

長期利用を想定した割引パスポート

「割引パスポート」と呼ばれる長期契約向けの割引制度を利用すると、サーバー料金をさらに抑えられます。対象プランを12/24/36カ月単位で先払いする仕組みで、契約期間に応じて通常料金から20%35%50%の割引率が設定されています。実際の運用では、通常利用よりおおむね1020%程度のコスト削減が期待できます。(利用状況による)(※5)
ディスク料金は対象外です。

さくらのクラウドを選ぶメリット

予算が立てやすい

データ転送無料・従量課金なし
サーバー料金とディスク料金のみで構成されるシンプルな料金体系のため、トラフィック量が多いサービスでも料金が膨らみません。

サーバー停止中は課金されない
仮想サーバーを停止するとサーバー料金が課金されないため、夜間や休日だけ停止する開発環境やコールドスタンバイ構成に適しています。

円建てで為替リスクなし
AWSはドル建てのため円安時にコストが増えますが、さくらのクラウドは国内サービスなので為替の影響を受けません。

国内リージョンならではの安心

石狩・東京の国内データセンターで低レイテンシー
石狩と東京の拠点に仮想サーバーを配置でき、低レイテンシーと災害対策を両立できます。

大容量バックボーン+国内IX接続で安定した通信
自社運営の大容量バックボーンを持ち、国内IXや大手ISPと接続することで高い可用性と安定したスループットを実現しています。

押さえておきたい注意点

海外ユーザー主体のサービスではレイテンシーが課題
リージョンが国内のみのため、海外ユーザー向けのサービスではレイテンシーが高くなります。

サーバーレスや機械学習など先進機能は限定的
サーバーレスアーキテクチャや機械学習サービスなど、AWSが提供する先進的なマネージドサービスは限定的です。

コミュニティやサードパーティ製ツールの選択肢は少なめ
AWSと比較すると、ナレッジベースやサードパーティ製ツールの選択肢が少ない傾向にあります。

AWSとの料金比較為替と従量課金が大きな違い

AWSのt3.microオンデマンドは東京リージョンで月約12ドル(1ドル=160円換算で約1,920円)※例示(※6)
さくらのクラウドの同等構成は1,540円と割安です。
AWSではReserved InstanceやSavings Plansを活用することで、最大30%以上の割引が可能ですが、データ転送量による課金が月額に影響します。
さくらのクラウドは転送量無料・円建てのため、コスト予測が容易です。

さくらのクラウドはこんな方におすすめ

AWSなど外資系クラウドは機能が豊富でグローバル展開に適していますが、料金の変動要因が多く総コストを予測しづらいのが難点です。さくらのクラウドはサーバー+ディスク以外の課金がなく、データ転送量無料・円建てといった国産サービスならではの安心感があります。

小規模な検証環境から中規模のWebサイト、固定的な社内システムまで幅広く対応でき、利用期間が長い場合は割引パスポートでさらにコストを抑えられます。

一方で、AWSのReserved InstanceやSavings Plansを適切に活用すれば高い割引率を享受でき、大量のグローバルトラフィックやサーバーレス開発などさくらのクラウドにはない機能を求める場合はAWSが有利です。

さくらのクラウドが特におすすめなのは以下のような方です。

  • 国内向けサービスで予算管理を重視
  • トラフィックが多いサービスで従量課金を避けたい
  • シンプル構成で運用したい中小企業・スタートアップ
  • 開発・検証環境で夜間・休日停止を活用してコスト削減


クラウドを選ぶ際は、単価だけでなく、予算管理のしやすさや運用負担も含めて総合的に比較することが重要です。外資系クラウドに加えて、さくらのクラウドも選択肢として検討する価値があります。


【脚注・参考文献】
本記事は2025年9月時点の公開情報に基づいています。最新の価格や機能については各社公式サイトをご確認ください。

1.料金 | さくらのクラウド
2.ご利用料金の計算方法 | さくらのクラウド マニュアル
3.サーバー | さくらのクラウド
4.ディスク | さくらのクラウド
5.割引パスポート | さくらのクラウド マニュアル
6.オンデマンドインスタンスの料金 - Amazon EC2 (仮想サーバー) | AWS

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