AWS BackupとAMIの違いとは?EC2バックアップの自動化と使い分けを解説
更新日:2026-08-27 公開日:2025-05-14 by Bitmoss
AWSでEC2のバックアップを検討すると、「AWS BackupとAMIは何が違うのか」「AMIを定期的に作成すればバックアップとして十分なのか」と迷うことがあります。
結論からいうと、AMIはEC2を起動するためのマシンイメージであり、AWS BackupはEC2を含むAWSリソースのバックアップを管理・自動化するサービスです。
AMIそのものを定期作成・世代管理したい場合はAmazon Data Lifecycle Manager、EC2やRDS、EFSなどを含めてバックアップを一元管理したい場合はAWS Backupが適しています。
この記事では、AWS BackupとAMIの違いから、EC2バックアップの自動化方法、AMIとEBSスナップショットの使い分け、復旧まで考えたバックアップ設計のポイントを解説します。
AWS BackupとAMIの違い
AWS BackupとAMIは、どちらもEC2のバックアップに関係しますが、役割が異なります。
| 比較項目 |
AWS Backup |
AMI |
|---|---|---|
| 何か | バックアップを管理・自動化するサービス | EC2を起動するためのマシンイメージ |
| 主な目的 | バックアップと復旧の一元管理 | EC2環境の復旧・複製・展開 |
| 対象 | EC2を含む複数のAWSサービス | EC2 |
| スケジュール管理 | バックアッププランで管理 | AMI単体にはスケジュール機能はない |
| 向いている用途 | 組織的なバックアップ運用 | EC2単位の復旧や複製 |
つまり、AWS BackupとAMIはどちらか一方を選ぶものではありません。
AWS Backupはバックアップ運用を管理する仕組み、AMIはEC2を復旧・展開するために利用されるイメージと整理するとわかりやすいでしょう。
AWS BackupでEC2をバックアップするとAMIはどうなる?
AWS Backupでは、AMIの技術を使ってEC2のインスタンスレベルのバックアップをサポートしています。バックアッププランに基づいて復旧ポイントを作成・管理し、EC2インスタンス全体を復元できます。
EC2を復元すると、AWS BackupはAMI、EC2インスタンス、EBSルートボリューム、データボリューム(保護対象に含まれている場合)、EBSスナップショットを作成します。
そのため、AWS Backupを「AMIを自動作成するためだけのサービス」と捉えるのは正確ではありません。
AWS Backupの役割は、EC2を含めたAWSリソースのバックアップについて、次のような運用をまとめて管理することです。
- バックアップの実行スケジュール
- バックアップ対象
- 保持期間
- 復旧ポイント
- バックアップのライフサイクル
なお、EC2インスタンスをAWS Backupから復元する場合でも、EC2起動時に利用するユーザーデータなど、バックアップ・復元の対象にならない設定があります。
「EC2が起動できたから復旧完了」と考えるのではなく、アプリケーションやネットワーク、外部サービスとの接続まで確認することが重要です。
EC2・AMIバックアップを自動化する方法
EC2やAMIのバックアップを自動化する方法は、目的によって使い分けます。
代表的なのは、AWS BackupとAmazon Data Lifecycle Managerです。独自要件がある場合には、AWS LambdaやAmazon EventBridgeなどを組み合わせる方法もあります。
AWS Backupでバックアップを一元管理する
AWS Backupは、EC2だけでなく複数のAWSサービスのバックアップをまとめて管理したい場合に適しています。
バックアッププランを利用することで、「毎日バックアップする」「一定期間保持する」といったルールを継続的に適用できます。
特に次のような環境ではAWS Backupが有力な選択肢です。
- EC2以外にも複数のAWSサービスを利用している
- バックアップルールを標準化したい
- 担当者による手作業を減らしたい
- バックアップ状況をまとめて管理したい
- BCP・DRまで含めてバックアップ体制を整備したい
AMIの定期作成ならAmazon Data Lifecycle Manager
「EC2から定期的にAMIを作成したい」「一定期間を過ぎたAMIを自動的に整理したい」という場合には、Amazon Data Lifecycle Managerが適しています。
Amazon Data Lifecycle Managerでは、EBS-backed AMIのライフサイクルをポリシーとして管理できます。
- 指定したスケジュールでAMIを作成する
- 保持期間や保持世代数を設定する
- 保持ルールに基づいて古いAMIを登録解除する
- AMIを別リージョンへコピーする
- EC2のタグをAMIへ引き継ぐ
カスタムAMIポリシーでは対象となるEC2をタグで指定できるため、複数のインスタンスに同じAMI運用ルールを適用することも可能です。
独自要件がある場合はLambdaなどを組み合わせる
AWS BackupやAmazon Data Lifecycle Managerでは対応できない独自の処理が必要な場合は、AWS LambdaやAmazon EventBridgeなどを利用して自動化する方法もあります。
ただし、独自実装は柔軟性が高い反面、プログラムの保守やエラー監視なども必要になります。
まずはAWS BackupやAmazon Data Lifecycle Managerで要件を満たせないか確認し、それでも不足する場合に独自実装を検討する方が運用負荷を抑えやすいでしょう。
AWS BackupとAmazon Data Lifecycle Managerの使い分け
AWS BackupとAmazon Data Lifecycle Managerは、どちらもバックアップの自動化に利用できますが、管理する対象と目的が異なります。
| 比較項目 |
AWS Backup |
Amazon Data Lifecycle Manager |
|---|---|---|
| 主な目的 | バックアップ運用の一元管理 | AMI・EBSスナップショットのライフサイクル管理 |
| 対象 | EC2を含む複数のAWSサービス | EBSスナップショット・EBS-backed AMI |
| AMIの定期作成 | AMI単体のライフサイクル管理が主目的ではない | 適している |
| 向いているケース | 複数サービスを含むバックアップを標準化したい | AMIの作成・保持・世代管理を自動化したい |
複数のAWSサービスをまとめてバックアップ管理するならAWS Backup、AMIそのものの作成・保持を自動化するならAmazon Data Lifecycle Managerという考え方を基本にすると選びやすくなります。
どちらか一方しか使えないわけではなく、システムの要件によって使い分けたり、併用したりすることもあります。
AMIとEBSスナップショットの違い
AMIとあわせて理解しておきたいのがEBSスナップショットです。
どちらもEC2のバックアップで利用されますが、役割は同じではありません。
| 比較項目 |
AMI |
EBSスナップショット |
|---|---|---|
| 主な対象 | EC2を起動するためのイメージ | EBSボリューム |
| 主な用途 | EC2の復旧・複製・展開 | ボリュームのバックアップ・復元 |
| EC2の起動 | AMIからEC2を起動できる | スナップショット単体からEC2を直接起動するものではない |
| 向いているケース | EC2環境を再構築したい | 特定のEBSボリュームを復旧したい |
EBS-backed AMIは、EC2を起動するための設定情報と、EBSボリュームのスナップショットなどから構成されます。
「AMIかスナップショットか」を単純に選ぶのではなく、何をどの状態まで復旧したいかによって使い分けることが重要です。
AMIバックアップを自動化するときの5つの設計ポイント
バックアップは、自動で取得できていれば十分というわけではありません。
障害時に必要な状態まで復旧できるよう、取得頻度や保持期間、復旧手順まで含めて設計する必要があります。
1. RPOからバックアップ頻度を決める
バックアップ頻度は、「毎日」「毎週」と先に決めるのではなく、どの時点までデータを戻せればよいかというRPO(目標復旧時点)から逆算します。
たとえば、最大24時間分のデータ損失を許容できるシステムと、1時間分しか許容できないシステムでは、必要なバックアップ頻度が異なります。
2. RTOから復旧方法を考える
どの程度の時間でシステムを復旧する必要があるかというRTO(目標復旧時間)も重要です。
バックアップが存在していても、復元作業に長時間かかれば、業務上求められるRTOを満たせない場合があります。
重要なシステムでは、バックアップ取得だけでなく、復旧作業に必要な時間まで確認しておきましょう。
3. 保持期間と世代数を決める
AMIやスナップショットを必要以上に保持すると、管理対象が増え、不要なストレージコストにつながります。
「日次は30日」「月次は1年」など、システムの重要度や社内ルールに応じて保持方針を設定します。
4. 本番環境とバックアップの障害範囲を分ける
本番環境とバックアップを同じ障害範囲に置いていると、障害や誤操作、セキュリティインシデントの影響を同時に受ける可能性があります。
システムの重要度に応じて、別リージョンや別アカウントへのバックアップコピーも検討しましょう。
5. 定期的に復元テストを行う
「バックアップに成功していること」と「システムを復旧できること」は同じではありません。
AMIからEC2を起動できても、システム全体が正常に動作するとは限りません。
たとえば、次のような要素も確認する必要があります。
- データベース
- DNS
- ロードバランサー
- IAMやアクセス権限
- 外部サービスとの接続
- アプリケーション設定
重要なシステムほど定期的に復元テストを実施し、復旧手順と所要時間を確認しておくことが重要です。
また、AWS Backupには復元テストを定期的に実行できる「Restore testing(復元テスト)」機能があります。EC2も対象となっており、復元可能性の確認や復元にかかった時間の把握を自動化できます。バックアップ取得だけでなく、定期的な復旧確認まで運用に組み込む際に活用できます。
バックアップだけでなく、RPO・RTOや冗長化、災害対策まで含めて整理したい場合は、クラウドで実現するBCP/DR完全ガイドもあわせてご覧ください。
AMIバックアップでよくある失敗
AMIを作成するだけで保持ルールがない
手作業でAMIを作成していると、古いAMIがそのまま残り続けることがあります。
定期的にバックアップする場合は、作成だけでなく、保持期間や世代数もあわせて設定することが重要です。
バックアップの成功だけを確認している
バックアップジョブが正常終了していても、実際にシステムを復旧できるとは限りません。
EC2の起動だけでなく、アプリケーションやデータベース、ネットワーク、権限などを含めた復元確認を行いましょう。
Golden AMIとバックアップを混同している
Golden AMIは、OSやミドルウェア、セキュリティ設定などを標準化したEC2環境を展開するためのベースイメージです。
障害直前の状態へ戻すためのバックアップとは目的が異なります。
Golden AMIの作成・テスト・配布を自動化する場合はEC2 Image Builderなどを利用し、障害復旧用のバックアップとは分けて設計しましょう。
AWS BackupとAMIに関するよくある質問
AWS BackupとAMIの違いは何ですか?
AWS BackupはEC2を含むAWSリソースのバックアップを管理・自動化するサービスで、AMIはEC2を起動するためのマシンイメージです。AWS Backupはバックアップ運用の仕組み、AMIはEC2の復旧や複製などに利用されるイメージという違いがあります。
AWS Backupを使えばAMIは不要ですか?
一概に不要とはいえません。AWS BackupとAMIは役割が異なります。AWS BackupではEC2の復旧ポイントを管理し、EC2を復元する際にはAMIなどが作成されます。一方、EC2の複製や標準イメージとしてAMIを直接利用するケースもあります。
AMIバックアップを自動化するにはどうすればよいですか?
AMIそのものを定期作成し、保持期間や世代数を管理したい場合はAmazon Data Lifecycle Managerが適しています。EC2を含む複数のAWSサービスのバックアップをまとめて管理する場合はAWS Backupを検討します。
AMIとEBSスナップショットはどちらを使えばよいですか?
EC2環境を起動・再構築したい場合はAMI、EBSボリューム単位でバックアップ・復元したい場合はEBSスナップショットが基本となります。ただし、実際のバックアップ設計では、復旧対象やRPO・RTOを踏まえて判断する必要があります。
AMIのバックアップはどのくらいの頻度で取得すべきですか?
一律の頻度が決まっているわけではありません。障害発生時にどの時点までデータを戻せればよいかというRPOから逆算して決めます。システムの更新頻度や重要度によって、必要なバックアップ頻度は異なります。
まとめ|AMIを作るだけでなく「復旧できる」バックアップ運用へ
AWS BackupとAMIは、どちらもEC2のバックアップに関係しますが、役割が異なります。
- AWS Backup:EC2を含むAWSサービスのバックアップを一元管理する
- AMI:EC2を起動・復旧・複製するために利用する
- Amazon Data Lifecycle Manager:AMIやEBSスナップショットの作成・保持を自動化する
AMIの定期作成が目的ならAmazon Data Lifecycle Manager、複数のAWSサービスを含めてバックアップ運用を標準化したい場合はAWS Backupが有力な選択肢になります。
ただし、バックアップの目的は「取得すること」ではありません。
障害が発生したときに、必要な時点まで、必要な時間内にシステムを復旧できることが重要です。
バックアップ頻度や保持期間だけでなく、RPO・RTO、保存先、復旧手順、復元テストまで含めて運用を設計しましょう。
AWS環境全体のバックアップやDR設計を見直したい場合は、クラウドで実現するBCP/DR完全ガイドも参考にしてください。
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