さくらのクラウド「石狩第3ゾーン」で実現する環境配慮型BCP対策
更新日:2025-12-11 公開日:2025-12-11 by アツシバ
北海道・石狩に新ゾーン誕生、高可用性とサステナビリティを両立
2025年9月25日、さくらインターネットが運営する「さくらのクラウド」の石狩リージョンに、石狩第3ゾーンが開設されました。これにより、同一リージョン内で3つのゾーンを活用したマルチゾーン構成が可能となり、企業のBCP(事業継続計画)対応がさらに強化されます。
石狩リージョンの大きな特徴は、北海道の冷涼な気候を活かした環境配慮型データセンターであることです。外気冷却を活用することで、従来の空調設備に比べて大幅な省電力化を実現しており、企業のサステナビリティ目標達成にも貢献します。
第3ゾーンの追加により、中小企業でも無理のないコストで高可用性とサステナブルITを両立できる選択肢が増えました。システムの安定稼働と環境配慮を同時に実現したい企業にとって、石狩リージョンは有力な選択肢となります。
なぜ石狩なのか?環境配慮型データセンターの強み
冷涼な気候を活かした外気冷却で省電力化
データセンターの運営において、サーバーの冷却に必要な電力は大きなコストと環境負荷の要因となります。一般的なデータセンターでは、年間を通じて空調設備を稼働させる必要があり、消費電力の約40%が冷却に使われるとも言われています。
石狩データセンターは、北海道の冷涼な気候を最大限に活用した外気冷却システムを採用しています。年間平均気温が約9度という環境を利用することで、外気を直接取り込んでサーバーを冷却し、空調設備の稼働を大幅に削減できます。これにより、従来型のデータセンターと比較して大幅な省電力化とCO2排出量の削減を実現しています。
企業のサステナビリティレポートやESG経営の観点からも、環境配慮型データセンターの利用は重要な取り組みとなります。石狩リージョンを選択することで、自社のカーボンフットプリント削減に貢献できます。
災害リスクの低い立地でBCP対策を強化
BCP対策を検討する際、データセンターの立地選定は非常に重要です。地震、台風、水害などの自然災害リスクを考慮し、適切な地域にシステムを配置する必要があります。
北海道石狩湾新港地域は、今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率が3%以下と試算されており、本州の多くの都市圏と比べて地震リスクが低い地域とされています。また、津波被害や河川氾濫による洪水リスクも比較的低いエリアです。
さくらインターネットの石狩データセンターが建つ場所は、想定される津波の最高到達点(約4.7m)に対して地盤高が5.5m以上とされており、津波リスクは非常に低いと評価されています。
さらに、首都圏や関西圏にシステムを集中させている企業にとって、北海道へのバックアップ拠点設置は地理的リスク分散の観点からも有効です。
第3ゾーン追加で実現するマルチゾーン構成のメリット
同一リージョン内での高可用性設計
従来、さくらのクラウド石狩リージョンでは2つのゾーンが提供されていましたが、第3ゾーンの追加によりより柔軟で堅牢な冗長構成が可能になりました。
マルチゾーン構成とは、複数のデータセンター(ゾーン)にシステムを分散配置する設計手法です。1つのゾーンで障害が発生しても、他のゾーンでサービスを継続できるため、システムの可用性が大幅に向上します。
特に3ゾーン構成では、以下のようなメリットがあります。
- データベースクラスタリング:3つのゾーンにデータベースを分散配置し、高可用性を実現
- 段階的な冗長化:重要度に応じて2ゾーン/3ゾーン構成を使い分け、コストを最適化
中小企業にとって、同一リージョン内で完結するマルチゾーン構成は、複雑な設定や高額な通信コストを抑えながら、高可用性を現実的に実現できる選択肢です。
同一リージョン内の近距離接続でリアルタイム同期も可能
マルチゾーン構成を採用する際の懸念点の1つが、ゾーン間の通信遅延です。遠隔地にあるデータセンター間ではデータ同期に時間がかかり、システムのパフォーマンスに影響を与えることがあります。
石狩リージョンの各ゾーンは同一リージョン内での近距離ネットワーク接続となるため、以下のような用途でも快適に利用できます。
- データベースのリアルタイムレプリケーション
- ファイルサーバーの同期
- Webアプリケーションの負荷分散
同一リージョン内の接続により、パフォーマンスを維持しながら高可用性を実現できるのが、石狩リージョンの大きな強みです。
中小企業が取り組むべき、環境配慮とBCPの両立
コストを抑えた段階的なマルチゾーン導入
中小企業がBCP対策を検討する際、コスト面が大きな課題となります。すべてのシステムを一度にマルチゾーン化することは、予算的にも運用面でも現実的ではありません。
そこで推奨されるのが、段階的なマルチゾーン導入です。以下のステップで、無理なく高可用性を実現できます。
- 優先度の高いシステムから対応:基幹システムや顧客向けWebサービスなど、停止が許されないシステムを優先的にマルチゾーン化
- まずは2ゾーン構成:石狩第1ゾーンと第3ゾーンの2ゾーン構成で冗長化を実現
- 必要に応じて3ゾーン構成へ拡張:予算と要件に合わせて高度な3ゾーン構成に移行
さくらのクラウドは利用時間に合わせた料金体系を採用しており、初期費用不要で必要なリソースだけを利用できます。また、データ転送量による従量課金がないため、コストの予測がしやすい点も特徴です。オンプレミスからの移行により、自社でのサーバー管理コストや電力コストも削減できます。
サステナブルITで企業価値を高める
近年、企業の環境配慮への取り組みは、取引先や顧客からの評価に直結する重要な要素となっています。特に上場企業や大手企業との取引では、サプライチェーン全体での環境配慮が求められるケースが増えています。
石狩リージョンのような環境配慮型データセンターを活用することで、以下のメリットが得られます。
- CO2排出量の削減:外気冷却による省電力化で、自社のカーボンフットプリントを削減
- ESGレポートへの記載:サステナビリティレポートや環境報告書へ具体的な取り組みとして記載可能
- 企業イメージの向上:環境配慮型ITインフラの採用をPRすることで、企業ブランド価値を向上
サステナブルITへの取り組みは、コスト削減と企業価値向上を同時に実現できる、中小企業にとって有効な戦略です。
フューチャースピリッツがサポートする環境配慮型クラウド基盤
フューチャースピリッツは、さくらインターネットのパートナーネットワーク「セールスパートナー制度」における最上位ランク、アドバンストランク(Advanced Rank)パートナーとして、石狩第3ゾーンを活用した環境配慮型クラウド基盤の設計・構築・運用をトータルでサポートします。
中小企業のIT責任者にとって、マルチゾーン構成の設計やBCP対策の実装は専門的な知識と経験が必要な領域です。フューチャースピリッツでは、以下のようなサービスを提供しています。
- 最適なゾーン構成の提案:予算や要件に応じた2ゾーン/3ゾーン構成の設計
- 段階的な移行計画の策定:オンプレミスや他クラウドからの移行ロードマップ作成
- 運用サポート:24時間365日の監視体制と、障害時の迅速な対応
- コスト最適化:継続的なリソース見直しによる、無駄のないクラウド運用
さくらのクラウドとAWSの両方を熟知した技術者が、お客様のビジネスに最適なクラウド戦略をご提案します。
環境配慮とBCP対策を両立したクラウド基盤の構築をご検討の方は、ぜひフューチャースピリッツにご相談ください。