さくらのクラウド「石狩第3ゾーン」とは?石狩リージョンの特徴とBCP・DR設計

更新日:2026-10-06 公開日:2025-12-11 by Bitmoss

目次

さくらのクラウド「石狩第3ゾーン」とは?石狩リージョンの特徴とBCP・DR設計石狩第3ゾーンとは、さくらのクラウドの石狩リージョンに開設された3つ目のゾーンです。第1・第2ゾーンとは電源や設備が独立しており、複数ゾーンを組み合わせることで、単一ゾーンへの依存を避けた可用性設計の選択肢が広がります。

さくらインターネットは2025年9月25日、石狩リージョンに第3ゾーンを開設しました。これにより石狩リージョンでは、第1・第2・第3の3つのゾーンを利用できます。

ただし、「3つのゾーンがある=自動的にシステムが冗長化される」というわけではありません。サーバーやディスク、ネットワーク、データの配置をどのように分散するかは、システム側で設計する必要があります。

本記事では、石狩第3ゾーンの特徴だけでなく、マルチゾーン構成によって何が変わるのか、BCP・DRの観点からどこまで備えられるのかを整理します。

クラウド全体のBCP・DR設計について先に整理したい方は、クラウドで実現するBCP/DR完全ガイドもあわせてご覧ください。

石狩第3ゾーンとは

石狩第3ゾーンは、さくらのクラウドの石狩リージョンに2025年9月25日に開設されたゾーンです。

リージョンとゾーンの違い

さくらのクラウドでは、クラウドリソースの物理的な位置を「リージョン」と「ゾーン」という単位で管理しています。

項目 概要
リージョン 東京、石狩などの地域単位。地理的な分散や広域DRを検討する際の基本単位
ゾーン リージョン内に設けられた設備単位。石狩第1・第2・第3ゾーンは、それぞれ電源や設備が独立している

石狩リージョンには現在、第1・第2・第3ゾーンがあり、いずれも石狩データセンターに開設されています。各ゾーンは、石狩の他のゾーンとは電源や設備が独立しています。
(出典:さくらのクラウド ご利用上の注意「提供ゾーンについて」)

第3ゾーンの追加によって利用可能なリソースが拡充され、大規模なクラウド利用やシステム移行を含め、石狩リージョンを選択できる幅が広がりました。

さくらのクラウド自体の特徴や料金、AWSなど他のクラウドとの違いについては、さくらのクラウドとは?特徴・料金・AWSとの違いをわかりやすく解説をご覧ください。

石狩第3ゾーンでBCP・DR設計はどう変わる?

石狩第3ゾーンの追加で重要なのは、単に利用できる設備が増えたことではなく、石狩リージョン内で、ゾーン単位の障害を想定した構成を検討しやすくなったことです。

単一ゾーンへの依存を避けやすくなる

1つのゾーンだけにシステムを配置した場合、そのゾーンで大きな障害が発生すると、システム全体に影響する可能性があります。

重要なシステムでは、Webサーバーやアプリケーションなどを複数ゾーンに分散し、単一ゾーンへの依存を減らすことが可用性向上の基本的な考え方になります。

ポイント
石狩第1・第2・第3ゾーンは電源や設備が独立しているため、ゾーン単位の障害に備える構成の土台になります。実際に備えられるかどうかは、どのリソースをどのゾーンに配置し、障害時にどう切り替えるかの設計次第です。

可用性対策と広域DRを分けて考えられる

BCP・DRを検討するときは、「止まりにくくする対策」と「大規模災害から復旧する対策」を分けて考える必要があります。

石狩リージョン内で複数ゾーンを利用する構成は、単一ゾーンの障害に備える方法として有効です。一方、リージョン全体に影響するような広域災害まで想定する場合は、東京リージョンなど地理的に離れた環境への分散も検討対象になります。

なお、石狩の3つのゾーンはいずれも同じ石狩データセンターに開設されています。一方、東京の第1・第2ゾーンは、それぞれ独立したデータセンターにあります。

構成 主な目的 想定するリスク
単一ゾーン シンプルな構成・コスト抑制 冗長化による障害対策なし
石狩リージョン内の複数ゾーン 可用性向上・単一ゾーン依存の低減 ゾーン単位の障害
石狩+東京など複数リージョン 広域DR・地理的なリスク分散 広域災害・リージョン単位の障害

マルチゾーンとマルチリージョンは、どちらが優れているという関係ではありません。止められない業務、許容できる停止時間、復旧目標、予算に応じて使い分けることが重要です。

石狩第3ゾーンを活用した構成の考え方

石狩第3ゾーンを含む複数ゾーンを利用する場合も、すべてのシステムを最初から3ゾーン構成にする必要はありません。

システムの重要度に応じて、段階的に可用性を高めていく考え方が現実的です。

1. 単一ゾーンから複数ゾーンへ分散する

現在1つのゾーンに集中しているシステムであれば、まずは停止した場合の影響が大きい部分から分散を検討します。

たとえば、Webサーバーやアプリケーションサーバーを別ゾーンに配置し、特定のゾーンに障害が発生した場合でもサービス全体への影響を抑えられる構成を検討します。

2. データの冗長化を別途設計する

サーバーを複数ゾーンに配置しても、データが1か所にしかなければ十分な冗長構成とはいえません。

さくらのクラウドでは、ディスクなどのリソースはゾーンごとに作成され、サーバーとディスクの接続も同一ゾーン内に限られます。そのため、必要な可用性に応じて、バックアップやデータ複製などを利用者側で設計する必要があります。

「サーバーを分散したから安心」ではなく、データ、ネットワーク、切り替え方法まで含めて確認することがポイントです。

3. 広域災害に備える場合は別リージョンも検討する

石狩の3つのゾーンは、電源や設備が独立していますが、いずれも同じ石狩データセンターに開設されています。そのため、複数ゾーンを利用しても、石狩の地域全体に影響するリスクには備えられません。

大規模な自然災害など、リージョン全体に影響するリスクまで対象とする場合は、石狩と東京など、地理的に離れたリージョンへのバックアップや待機環境の配置を検討します。

どこまで分散すべきかは、RTO(目標復旧時間)やRPO(目標復旧時点)によって異なります。BCP・DR全体の設計方法については、クラウドで実現するBCP/DR完全ガイドで詳しく解説しています。

石狩第3ゾーンを利用するときの注意点

ゾーンをまたいで利用できない機能がある

さくらのクラウドでは、サーバーとディスクの接続など、一部の操作は同一ゾーン内に限定されています。

そのため、マルチゾーン構成を検討するときは、単純に既存リソースを別ゾーンへ分散するのではなく、各リソースのゾーン依存性や接続方法を確認したうえで構成を設計する必要があります。

3ゾーンを使えば自動的に高可用性になるわけではない

石狩リージョンで3つのゾーンを利用できることと、システム自体が高可用性になることは別です。

複数ゾーンを利用する場合は、少なくとも次のような点を整理しておく必要があります。

  • どのシステムを複数ゾーンに配置するか
  • データをどのように複製・バックアップするか
  • 障害をどのように検知するか
  • 障害発生時にどのように切り替えるか
  • 復旧後にどのように通常構成へ戻すか

構成だけでなく、障害発生時の運用まで決めておくことで、はじめて実効性のある可用性対策になります。

広域DRとは目的が異なる

同一リージョン内のゾーン分散は、ゾーン単位の障害への備えとして有効ですが、広域災害に対する地理的な分散とは異なります。

「止まりにくくしたい」のか、「大規模災害が発生しても別拠点から復旧したい」のかによって、必要な構成は変わります。

石狩リージョン・第3ゾーンが向いているケース

石狩リージョンは、首都圏とは地理的に離れた国内拠点としてBCP・DRの分散先を検討できるほか、第3ゾーンの追加によってリージョン内の可用性設計の選択肢も広がっています。

石狩第3ゾーンは、特に次のようなケースで検討しやすい選択肢です。

  • 現在の単一ゾーン構成を見直したい
  • 業務システムやWebサービスの可用性を高めたい
  • 石狩リージョンで比較的大きなシステムを構築・移行したい
  • 首都圏へのインフラ集中を見直したい
  • 将来的なBCP・DR対策を見据えてクラウド基盤を設計したい

石狩リージョン(石狩データセンター)の特徴

石狩データセンターは北海道の冷涼な外気を利用した冷却方式を採用していることも特徴です。

石狩データセンターの外気冷房システム概念図石狩データセンター外気空調システム概念図

石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)

BCP・DRだけでなく、国内にデータを配置したい場合や、空調の消費電力削減といった観点も含めてクラウド基盤を検討したい場合にも、石狩リージョンは選択肢のひとつになります。

よくある質問(FAQ)

石狩第3ゾーンとは何ですか?

さくらのクラウドの石狩リージョンに、2025年9月25日に開設された3つ目のゾーンです。石狩の他のゾーンとは電源や設備が独立しており、石狩リージョンでは第1・第2・第3の3つのゾーンを利用できます。

石狩リージョンとは?東京・大阪とどう違いますか?

石狩リージョンは、北海道石狩市の石狩データセンターに置かれたリージョンです。首都圏のデータセンターにある東京リージョンとは地理的に離れており、BCP・DRの分散先として検討されます。石狩には第1・第2・第3の3つのゾーンがあり、それぞれ電源や設備が独立しています。東京や大阪にもゾーンが用意されているため、システムの重要度やDRの要件に応じて組み合わせを検討します。

石狩第3ゾーンを使うと自動的に冗長化されますか?

いいえ、自動的には冗長化されません。複数のゾーンを利用できても、サーバーやデータがゾーン間で自動的に複製されるわけではないためです。必要な可用性に応じて、複数ゾーンへのリソース配置、データのバックアップ、障害時の切り替え方法などを利用者側で設計する必要があります。

石狩の3ゾーンを使えばDR対策として十分ですか?

必要なDRレベルによって異なります。石狩の3ゾーンは同じ石狩データセンターにあり、ゾーン単位の障害には備えられますが、石狩の地域全体に影響する広域災害には備えられません。広域災害まで想定する場合は、東京など別リージョンへの分散も検討してください。

サーバーとディスクを別のゾーンにまたがって接続できますか?

できません。さくらのクラウドでは、サーバーとディスクの接続、サーバーのNICの接続先、スイッチ接続、アーカイブとディスクのコピーなどが、同一ゾーン内のリソースに限られています。複数ゾーンに分散する場合は、ゾーンごとにサーバーとディスクを用意し、データの複製やバックアップを別途設計します。

石狩第3ゾーンは既存システムのBCP対策にも使えますか?

利用できます。ただし、既存システムの構成、データ量、許容できる停止時間によって適切な方式は異なります。リソースを別ゾーンへ配置するだけでなく、バックアップ、ネットワーク、障害時の切り替えまで含めて検討することが重要です。

まとめ

石狩第3ゾーンの開設によって、さくらのクラウドの石狩リージョンでは、第1・第2・第3の3つのゾーンを利用できるようになりました。

重要なのは、ゾーンが増えたことそのものではなく、単一ゾーンへの依存を減らし、システムの重要度に応じた可用性設計を検討できる選択肢が広がったことです。

石狩の3ゾーンは、あくまで備えるための土台です。データの配置やバックアップ、ネットワーク、障害時の切り替えまで設計してはじめて、BCP・DR対策として機能します。

また、広域災害に備える場合には、石狩リージョン内のマルチゾーンだけでなく、東京など別リージョンへの分散も含めて検討することが重要です。

自社に必要なクラウド構成やBCP・DR対策を整理したい方へ

フューチャースピリッツでは、さくらのクラウドの設計・構築から運用まで支援しています。システムの重要度や運用体制に応じて、マルチゾーン構成やバックアップ、段階的な冗長化についてご相談いただけます。

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