【用語解説】クラウドリフトとクラウドシフトの違いと導入のポイント

更新日:2025-06-17 公開日:2024-02-14 by アツシバ

目次

クラウド移行に関する記事やセミナーでよく耳にする「クラウドリフト」と「クラウドシフト」。いずれもクラウド活用の一形態ですが、その目的やアプローチは大きく異なります。この記事では、両者の違いをわかりやすく整理し、企業が導入を検討する際のポイントを紹介します。

「オンプレミス」と「クラウドコンピューティング」

まず「クラウドリフト」や「クラウドシフト」について解説する前に、「オンプレミス」「クラウドコンピューティング」について解説いたします。

オンプレミスとは、システムを動かすのに必要なサーバーやネットワーク機器を、自社で購入して管理、運用する方法のことを指します。

クラウドコンピューティングとは、クラウドサービスを提供している企業からインターネットを通じて、サーバーやストレージ、データベースなど様々な機能を利用する方法のことを指します。そのためクラウドコンピューティングはオンプレミスと違い、自社でサーバー機器などを購入する必要はありません。インターネットでスピーディーに必要な分だけ機能を利用できるのがクラウドコンピューティングの特徴です。

クラウドリフトとは?(Lift and Shift)

クラウドリフトは、既存のシステムやアプリケーションを、構成をほぼ変更せずにクラウド環境へ移行する方法です。一般的に「Lift and Shift」と呼ばれ、クラウド活用の第一歩としてよく採用されます。

特徴
  • サーバーやOSなどをオンプレミスからそのままクラウドに移行
  • 短期間・低コストでクラウド化が可能
  • アプリケーション改修が不要なケースが多い
メリット
  • 移行にかかる時間とコストを最小限に抑えられる
  • クラウドのスケーラビリティや可用性をすぐに享受できる
デメリット
  • クラウドの特性を十分に活かせない
  • 将来的な最適化には追加の見直しが必要

クラウドリフトのイメージ図

クラウドリフトのイメージ図

クラウドシフトとは?(クラウドネイティブ化)

クラウドシフトは、システム構成やアプリケーションそのものをクラウドに最適化して設計・構築し直すアプローチです。クラウドの機能をフル活用し、柔軟で高可用なアーキテクチャを実現します。

特徴
  • サーバーレス、マイクロサービス、コンテナなどの活用
  • 再設計・再構築が必要
  • DevOpsやCI/CDとの親和性が高い
メリット
  • クラウドの柔軟性・拡張性を最大限に引き出せる
  • 長期的に見た運用コストや開発効率の最適化が可能
デメリット
  • 初期設計と開発のコストが高くなる
  • 技術的な専門性が求められる

クラウドシフトのイメージ図

クラウドシフトのイメージ図

クラウドリフトとクラウドシフトの違いを比較

観点 クラウドリフト クラウドシフト
開発工数 少ない 多い
期間 短期 中長期
コスト 初期コスト低め 初期コスト高め
対象 既存資産の延命 新規開発・再設計
メリット すぐにクラウド移行可能 クラウドの利点を最大限活用可能
デメリット クラウド最適化は不十分な場合も 移行に時間とリソースがかかる

どちらを選ぶべきか?

結論から言うと、「クラウドリフトかクラウドシフトか」を単純に二者択一で決めるのではなく、期限や制約が厳しい資産はまずリフトでクラウドへ移行し、クラウドの恩恵を十分に受けられる資産から順次シフトを実施する。という段階的併用が、最も現実的でクラウドのメリットを最大限に享受できるシナリオです。

まとめ

クラウドリフトとクラウドシフトは、どちらもクラウド移行の有力な手段ですが、導入の目的や社内体制によって有効な進め方があります。両者の違いを理解したうえで、自社に合った移行戦略を選ぶことが、クラウド活用成功の第一歩です。

フューチャースピリッツでは、クラウドリフトやクラウドシフトなど、クラウド環境への移行サポートを行っております。今のサーバー環境の状況がわからない、長年管理が出来ていないシステムがあるなどの場合でも、今のサーバー環境の調査からクラウド移行、システム改修まで幅広く承っております。

クラウド移行をご検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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