【導入事例】約1,800社の会員を支える健康診断費用補助の受付を、段階的DXで作業時間1/3に|京都中小企業振興センター
更新日:2026-10-08 公開日:2026-10-08 by E.M
FAX・手入力が中心だった健康診断費用補助の受付・管理業務を、段階的なDXで効率化。
現場の運用に合わせたシステム化により、作業時間と問い合わせを約1/3に削減した事例をご紹介します。
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この事例の要点・課題 課題:FAXで届く健康診断費用補助の申込情報を手入力し、帳票作成・印刷・郵送までを担当者1名で対応 解決:オンラインでの受付・情報共有を実現しつつ、紙での申し込みも受け付けられる仕組みを構築 成果:健康診断業務の作業時間を約1/3に削減。医療機関からの問い合わせも約1/3に |
京都府内の中小企業に向け、健康診断費用補助や給付金、各種割引サービスなどの福利厚生サービスを提供する公益財団法人京都中小企業振興センター(以下、KPC)様。
約1,800社の会員企業を支えるなか、健康診断費用補助の受付・管理業務では、FAXで届く申込内容の手入力や書類の印刷・郵送など、多くの手作業が発生していました。
そこでフューチャースピリッツでは、システム開発からサーバー環境、セキュリティ対策までを一貫して支援。約4年にわたり段階的にシステムを改善した結果、健康診断費用補助業務にかかる作業時間や医療機関からの問い合わせは、従来の約1/3まで減少しました。
今回は、KPCの芦田君彦様、福間理恵様に、システム化に至った背景や段階的にDXを進めた理由、導入後の効果についてお話を伺いました。
健康診断費用補助の受付・管理業務が抱えていた課題
紙・FAX・手入力に追われた現場
はじめに、KPCの事業について教えてください
福間「京都府内の中小企業の皆様に向けて、福利厚生サービスを提供しています。
主なものとしては、慶弔給付金制度や健康診断、各種割引サービスなどがあり、健康診断は、当センターの大きなサービスの3本柱のうちの一つです。
会員企業は約1,800社あり、健康診断では現在23の医療機関と連携しています。対象の医療機関で会員企業の方が健康診断を受診すると、当センターから1人あたり1,000円もしくは500円を補助しています。」
お二人は普段、どのような業務を担当されていますか?
芦田「私は企画関係の業務やホームページの作成などを担当しています。」
福間「私は営業活動やKPCのサービス説明、既存の会員企業様のサポートなどを担当しています。実際に会員企業様を訪問する機会も多いため、利用されている方の声を直接伺うことも多いですね。」
優良従業員表彰式の様子/ KPCでは毎年優良従業員の表彰を行っています
システム化する以前、健康診断の受付・管理はどのように行っていたのでしょうか?
福間「まず、会員企業様からFAXで健康診断の申し込みが届きます。届いた名簿を、職員が一件ずつメインのシステムに手入力していました。このシステムには多くの個人情報が入っているため、セキュリティ上あえてインターネットには接続していません。そのため、どうしても手入力が必要でした。
入力後は、医療機関へ送る表紙や部門別の表、名簿などを作成・印刷して、郵送していました。」
かなり手間のかかる業務ですね。どのくらいの時間を使っていたのでしょうか?
福間「健康診断の業務だけで、1日の作業時間のおよそ3分の1を占めていました。企業によっては200名ほどの申し込みをいただくこともあり、それをすべて手入力します。件数も多いですし、健康診断に関わる重要な情報なのでミスもできません。主担当は1名でしたので、負担は大きかったですね。」
システム化を考えた一番のきっかけは何だったのでしょうか?
福間「やはり、手作業そのものが大変だったことです。さらに紙を郵送するため、どうしてもタイムラグが発生します。発送状況について医療機関から問い合わせをいただくこともあり、その対応にも時間がかかっていました。
健康診断は当センターにとって重要な事業ですから、なくすわけにはいきません。これからも継続していくためにはどうすればいいかと考え、オンライン事務局の中に組み込むことにしました。」
現場に合わせた「ハイブリッド型」のシステム化
会員企業・KPC・医療機関の三者で情報を共有
システムを導入するにあたって、特に重視したことを教えてください
福間「重視したのは、会員企業様・KPC・医療機関の三者が、申し込み状況を同じように確認できるようにすることです。ただ、会員企業様すべてがすぐにデータで申し込めるわけではありません。
そこで、ExcelやCSVでデータを受け付ける仕組みを整えながら、従来通り紙でも申し込めるようにしました。いきなりすべてをデジタル化するのではなく、紙とデータを併用しながら進める『ハイブリッド型』を求めました。」
給付助成金の申請などに利用されている「KPCオンライン事務局」
長年の信頼がフューチャースピリッツ選定の決め手
個人情報を扱うシステムだけに、セキュリティへの配慮も重要だったのではないでしょうか?
芦田「絶対に漏れてはいけない部分なので、最初からセキュリティについてしっかり詰めていました。当初は『攻撃遮断くん』を導入し、その後、フューチャースピリッツ様が自社開発された『Future WAF』に変更しています。今のところセキュリティ上の問題は起こっていません。」
フューチャースピリッツへ依頼した決め手は何だったのでしょうか?
芦田「フューチャースピリッツさんとは、フューチャーショップを利用し始めた頃から数えて20年以上のお付き合いになりますが、その間、ショップ運営が止まったことは一度もありません。この安心感がすべてのベースにあり、今回も引き続きお願いすることにしました。」
4年かけて段階的に開発・改善
「この機能が欲しい」の声を次のフェーズへ
今回、一度にすべてを完成させるのではなく、段階的に開発・改善を進めています。この進め方はいかがでしたか?
福間「段階的にしてよかったと思います。健康診断のシステムは医療機関の方にも使っていただきますし、オンライン事務局のツールは会員企業様も利用します。実際に使っていただくと、『こういう機能が欲しい』『こういう使い方ができないか』といった意見が出てきます。それを次のフェーズの改善に反映することができました。
例えば、ファイルアップロード機能は、当初1ファイルずつしかアップロードできませんでした。しかし、利用者から『複数の書類をまとめて送りたい』という声をいただきました。
そこで、途中の改修を経ながら、今回のフェーズでは複数ファイルをアップロードできるようにしています。医療機関の操作についても、こちらが想定していた手順と実際の業務が異なる部分がありましたので、現場の声を聞きながら改善していきました。」
作業時間も問い合わせも約1/3に
情報を探す時間も大幅に削減
システム化によって、健康診断費用補助の受付・管理業務はどのように変わりましたか?
芦田「チャットでの対応も含め、オンライン事務局に登録される会員企業様が非常に増えていて、会員企業様の側でもそうした形を望まれていたのだと思います。ファイルをアップロードできるようになったことで郵送する必要もなくなりましたし、誰の分を登録したか、削除したか、といった書類の検索も非常にやりやすくなりました。
健康診断にかかる時間は、体感でも3分の1くらいになっていますし、医療機関からの問い合わせも同じくらい減っていますね。」
福間「情報が一つの画面に集約されているので、以前と比べてかなり見やすくなりました。」
一番大きな効果を挙げるとすると、どの部分でしょうか?
福間「私自身としては、やはり健康診断業務にかかる時間ですね。入力にかかる時間も問い合わせ対応の時間も3分の1程度になっています。これまで作業に使っていた時間を削減できるようになったことは、とても大きいです。」
約1,800社の会員にさまざまなサービスを提供するKPCの取り組みの一例/そば打ち体験会の実施
4年の伴走と今後のDX
「しつこく聞いてくれてよかった」プロジェクトを止めなかった伴走
2022年頃から約4年にわたるプロジェクトです。長い期間、ここまで進めることができた理由はどこにあると思いますか?
福間「私たちも通常業務をしながら、並行してこのプロジェクトを進めなくてはいけなかったので、正直大変でした。そんな中で、フューチャースピリッツさんから継続して質問を投げかけてもらえたことが大きかったと思います。
忙しくて回答が後回しになっているときも、『前回の件はどうなっていますか』と何度も確認してもらえた。そのおかげで、目標としていた納期を遅らせずに進めることができました。」
芦田「段階的に進めたことで、その都度修正したり、方針を変えたりすることができました。予算の面でも、一度にすべてを確保するのではなく、フェーズごとに分けながら進めたかったという事情があります。
毎年、理事会で内容を説明して予算を通す必要がありましたが、実際にシステムができて利用が進み、その効果が見えてくるにつれて、理事の理解も深まっていきました。結果として、次の段階へ進むための説明もしやすくなりました。
一気に完成させるのではなく、慌てず段階的に作っていったことがよかったと思います。」
DXは、一気に進めなくてもいい。「できるところから一つずつ」
今後、さらに取り組んでいきたいことを教えてください
芦田「DXの波に乗っているというわけではないのですが、入力業務をできるだけ減らして、その分の時間を別の仕事に振り向けたいと考えています。紙もなるべく減らして、入力せずに済む仕組みを考えていきたいですね。
健康診断については大幅に時間を短縮できたので、この経験をフューチャーショップのチケット販売など、他の業務にも生かしていきたいと思っています。」
今後、フューチャースピリッツに期待することがあれば教えてください
芦田「積み残している課題としては、会員企業様によっては担当者を複数人つけたいというご要望があり、これはフェーズ1の頃からある話です。フェーズ4があるとすれば、複数人の担当者を設定できるようにしていただきたいですね。」
福間「オンライン事務局のチャットでの問い合わせも、ある程度はAIが対応してくれるようになるといいですね。AIでは答えられない部分だけ人が対応する形にできれば、担当者の負担もさらに減らせるのではないかと思っています。」
最後に、DXを迷っている企業へメッセージをお願いします
福間「今回、私たちは段階を分けながら進めてきました。DXというと『全部一気に変えなければいけない』と思ってしまうかもしれませんが、そうではなく、できるところから徐々に進めていけばいいと思います。
一気にやろうとすると負担に感じてしまうので、まず一つ変えてみて、うまくいったという成功事例を社内に増やしていけばいいのではないでしょうか。」
芦田「中小企業には、まだデジタル化が十分に進んでいないところも多くあります。社内にITに詳しい人がいなかったとしても、一歩踏み出せばできることはあると思います。実際、オンライン事務局の登録ができたと、電話口で涙ぐんで喜んでくださる会員様もいました。
DXに触れるのに年齢は関係なく、やったことがあるかどうか、やってみようという意欲があるかどうかではないでしょうか。」
よくある質問(FAQ)
Q. 開発だけでなく、サーバー環境やセキュリティ対策もまとめて依頼できますか?
本事例のように、システム開発とサーバー環境・セキュリティ対策をまとめてご提案することが可能です。窓口を一本化できるため、運用開始後のお問い合わせも安心してお任せいただけます。
Q. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
プロジェクトの規模や範囲によって異なります。本事例では、健診受付システムの開発からサーバー・セキュリティ環境の構築までを含め、フェーズ1〜3を約4年かけて段階的に進めました。小さな範囲から始めて効果を確認しながら拡張していくことも可能ですので、まずはご相談ください。
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会社名 | 公益財団法人京都中小企業振興センター(KPC) |
|---|---|---|
| 設立 | 1967年11月 | |
| 所在地 | 〒600-8009 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78 京都経済センター4階405号 | |
| 事業内容 | 京都府下の中小企業とその従業員を対象とした福利厚生サービスの提供 | |
| URL | https://www.kpc.or.jp/ |
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